CAR(キメラ抗原受容体)は、シグナルペプチド、抗体由来の一本鎖可変領域、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、共刺激分子構造、CD3ζシグナル伝達ドメインから構成されています。CAR分子の設計とレンチウイルスの調製プロセスは、細胞治療の開発における重要なステップであり、いくつかの重要な段階を含みます。
図1.CAR分子構造
カテゴリー
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ソース | 機能 | 発現部位 |
シグナルペプタイド
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CD8α、GM-CSFなど |
CAR分子を細胞膜に誘導 |
細胞外 |
抗体scFv |
特許、文献、抗体開発
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腫瘍抗原の標的認識 |
細胞外 |
ヒンジ部 |
CD8α、IgG1、IgG4、IgGDなど |
scFvと細胞膜の間の相対的な空間的立体配座を維持 |
細胞外 |
ヒンジ部 |
CD8α、IgG1、IgG4、IgGDなど |
scFvと細胞膜の間の相対的な空間的立体配座を維持 |
膜貫通 |
共刺激分子 |
4-1BB、CD28、CD27、ICOS、など |
T細胞活性化のセカンドシグナルの提供 |
細胞内 |
シグナル伝達分子 |
CD3ζ |
T細胞の最初の活性化シグナルの提供 |
細胞内 |
表1.CAR分子設計に用いられる共通要素
CAR分子を設計した後、通常は合成し、図に示すようにレンチウイルスシャトルプラスミドにサブクローニングして、CAR発現ベクターを生成します。さらに、サイヤジェンは、ヒトCD19、BCMA、GPC3、FAP、HER2、およびその他の抗原を標的としたさまざまなCARレンチウイルスプラスミドを在庫として提供しており、これらは常に更新および拡張されています。
図2.CARレンチウイルスベクターの構造
サイヤジェンは、レンチウイルスベクターの調製において豊富な経験を持ち、多様なレンチウイルス調製サービスを提供しています。安全性の高い第3世代のレンチウイルスパッケージングシステムを使用し、サイヤジェンは図4に示す調製プロセスに従っています。
図3.レンチウイルスパッケージング技術ルート
成果物:
お客様からご提供いただくもの:
精製したCD19抗原を発現するレンチウイルスを勾配希釈(0.01、0.1、1、10μLの4段階)し、等量の293T細胞に添加しました。72時間後、フローサイトメトリーによりレンチウイルス感染陽性293T細胞の割合(すなわち、全細胞数のうちレンチウイルス感染293T細胞の割合)を求め、レンチウイルスの導入価を算出しました。
図4.CD19抗原に対するレンチウイルスの滴定結果
図に示すように、CD19抗原陽性細胞数は、ウイルス導入勾配の増加とともに徐々に増加し、レンチウイルスが良好な感染性を有することが示されました。なお、ウイルス力価は1.4×108TU/mLと算出されました。
前述のCD19抗原レンチウイルスを用いて293T細胞を導入したところ、複数回のスクリーニングを経て、CD19抗原を高発現する均質性の高いCD19-293T安定細胞株を得ることができました。
図5.CD19-293T細胞におけるCD19抗原陽性率検出結果
CD19抗原を標的とするFMC63 CAR分子を以下の構造で設計し、レンチウイルス調製用ベクター上に構築しました。FMC63 CARのレンチウイルス力価を前述の方法で検出したところ、4.33 × 108 TU/mLであることが判明されました。
図6.FMC63 CARの分子構造
図7.FMC63 CARのレンチウイルス滴定結果