マウスモデルカタログ

重度免疫不全マウス(BRGSF)

重度免疫不全マウスはT、B、NK免疫細胞の欠乏により、ヒト化マウスの作製に広く応用されている。よく使われる品系はNOG、NSG、BRGSなどである。無毛マウス、SCIDマウス及びNOD-scidマウスと比べ、NOGとNSGは人体組織によりよく植え付けられるが、Prkdcの突然変異により、これらの品系は放射線に敏感で、T細胞浸出や胸腺リンパ腫の発生率が高いなどの副作用を示している。したがって、これらはある抗がん剤の臨床上の予測と長期的な移植研究に使用できない。BRGSマウスはPrkdc突然変異を持っていないため、これらの問題を解決した。パスツール研究所のある科学者チームはBRGSを改善し、BRGF(BALB/cRag2tm1Fwa Il2rgtm1Cgn Flk2tm1lrl)品系と交配し、高度免疫不全BRGSF(BALB/cRag2tm1Fwa Il2rgtm1Cgn SirpaNOD Flk2tm1lrl)を発生した。両親品系の遺伝欠陥を持つ以外にFlk2も欠けていて、この遺伝子は髄系の発育を調節する。

 

以上の理由から、BRGSFマウスモデルは抗体医薬の研究開発、ワクチン開発、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の効果と安全性、髄系発育研究の貴重なツールである。また、BRGSFにヒトの造血細胞を移植する効率が非常に高いので、免疫系ヒト化(HIS)マウスの作製とヒトの体内免疫反応の研究と予測の最適なモデルである。

 

 

品系名 BALB/c Rag2tm1Fwa Il2rgtm1Cgn SirpaNOD Flk2tm1lr

品系バックグラウンド:BALB/c

BRGSFマウスの特徴

 

 

品系の説明:

■ ヒト由来造血幹細胞の移植効率が高い。

■ SirpaNODはBALB/cのSirpa遺伝子を取り替え、ヒト由来腫瘍細胞系異種移植(CDX)と患者腫瘍組織由来異種移植(PDX)の移植効率を向上させ、各種ソースのcell line derived xenografts (CDXs)とPatient-derived xenografts (PDXs)との互換性を上げた。

■ SCIDマウスは放射線に敏感であるが、BRGSFマウスはB細胞とT細胞の不活性化を保証する前提で(RAG2遺伝子をノックアウト)照射耐性が高い。

■ BRGSFマウス補体システムの機能は健全で、補体依存細胞毒性(CDC)を研究する強力なツールである。

 

 

研究の応用:

■ ワクチンの開発。

■ CAR-Tの有効性と安全性の評価。

■ 抗体医薬の薬効評価(BRGSFマウスに腫瘍を接種し、ヒトPBMCを移植し、抗体医薬の薬効評価を行い、標的の特徴によって、NKやT細胞が体内で活性化されているかどうかを観察し、薬物が腫瘍を抑制する効果があるかどうかを観察する)

■ 髄系細胞の発育研究。

■ Cell line derived xenografts (CDXs) と Patient-derived xenografts (PDXs)。

■ ヒトCD34+造血幹細胞移植(BRGSF-HIS参照)。

 

 

 

表現型の検証:

 

Figure 1. Human hematopoietic cell reconstitution in BRGF Mice. The purified human peripheral blood mononuclear cells (PBMC) were injected into newborn BRGF pups irradiated at 3 Gy. The reconstitution of human hematopoietic cells was analyzed after 12 weeks, and defined as the ration between the percentage of hCD45+mCD45.2 and the percentage of hCD45+ plus mCD45.2.

 

 

Figure 2. Kinetics of human cell reconstitution in the blood of BRGS and BRGSA2DR2 HIS Mice. (A) Representative flow cytometry immune‐phenotypic analysis of hCD45+ blood cells at 8 weeks and 12 weeks post graft (wpg) in humanized BRGS and BRGS HLA‐A*02‐HHD class I and HLA‐DRB1*15 class II transgenic mice (BRGSA2DR2) reconstituted with HLA‐A*02+ HLA‐DRB1*15+ HSCs. (B) (C) Analysis of hCD45cells ratio in BRGS (full circle) and BRGSA2DR2 HIS (open circle) mice. (D) Comparison of the CD4/CD8 ratios in both models at 12 wpg.

 

 

引用文献精選:

  1. Simpson, J. A.; Brown, M. E. Making HIS MiceMore Human‐like. Leukoc. Biol. 2020, 107 (1), 9–10.
  2. Lopez-Lastra, S.; Masse-Ranson, G.; Fiquet, O.; Darche, S.; Serafini, N.; Li, Y.; Dusséaux, M.; Strick-Marchand, H.; Di Santo, J. P. A Functional DC Cross Talk Promotes Human ILC Homeostasis in Humanized Mice. Blood Adv. 2017, 1 (10), 601–614.
  3. Li, Y.; Mention, J.-J.; Court, N.; Masse-Ranson, G.; Toubert, A.; Spits, H.; Legrand, N.; Corcuff, E.; Strick-Marchand, H.; Di Santo, J. P. A Novel Flt3-Deficient HIS Mouse Model with Selective Enhancement of Human DC Development. J. Immunol. 2016, 46 (5), 1291–1299.
  4. Legrand, N.; Huntington, N. D.; Nagasawa, M.; Bakker, A. Q.; Schotte, R.; Strick-Marchand, H.; de Geus, S. J.; Pouw, S. M.; Böhne, M.; Voordouw, A.; et al. Functional CD47/Signal Regulatory Protein Alpha (SIRPα) Interaction Is Required for Optimal Human T- and Natural Killer- (NK) Cell Homeostasis in Vivo. Natl. Acad. Sci. 2011, 108 (32), 13224–13229.
  5. Valton J, Guyot V, Boldajipour B, et al. A Versatile Safeguard for Chimeric Antigen Receptor T-Cell Immunotherapies.Scientific Reports, 2018, 8(1).

 

 

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