心筋梗塞モデル(左冠状動脈結紮術)と虚血再灌流障害モデル

急性心筋梗塞(AMI)は、冠状動脈の急性かつ持続的な虚血により心筋が壊死し、血清中の心筋酵素の上昇や特異的な心電図変化を伴いながら、致死性の心拍不全・ショック・心不全を引き起こす疾患です。
臨床では、胸骨後部の激しい持続性疼痛が主な症状であり、安静や硝酸薬の投与でも緩和されにくく、しばしば生命に関わる重篤な状態を呈します。

Cyagenでは、左冠状動脈前下行枝の結紮術により、臨床における心筋梗塞の病態を模倣する動物モデルを確立しています。本モデルは、基礎医学研究および新薬の前臨床評価に広く活用可能です。

 

動物の対象:

ラットおよびマウスのいずれにも対応可能で、原則としてオス動物の使用を推奨しておりますが、ご要望に応じてメスの使用にも対応いたします。動物の年齢や体重は、研究課題や評価目的に応じて柔軟に調整いたします。

 

手術の概要:

左胸部を切開して筋肉を分離し、肋骨を露出させた後、第4~5肋間から開胸して心臓を露出します。次に、左冠状動脈前下行枝を縫合糸で永久的に結紮することで心筋梗塞モデルを作製します。または、一時的に結紮してから血流を再開通させることで、虚血再灌流モデルの作製も可能です。最後に、胸部の切開部を閉じ、皮膚を縫合して手術を完了します。

マウス心筋梗塞Evans Blue及びTTC染色

マウス心筋梗塞Evans Blue及びTTC染色。通常の血流灌流エリア(青色)、境目エリア(赤色)と梗塞エリア(青白い色)

参照 Journal of Clinical Investigation, 2016; 126(12): 4654-4658。

 

手術疾患モデルの実験周期:

本モデルは、急性評価から慢性研究まで対応可能です。術後の観察期間は、モデルや評価内容に応じて数日~数週間(例:心不全モデル)にわたる場合があります。

 

動物の術後管理と郵送:

Cyagenでは、AAALAC認証を取得したSPFレベルの飼育施設において、動物の飼育から手術、術後管理までを一貫して実施しています。動物は、お客様からご提供いただくことも、当社がC57BL/6マウスやWistarラットなどの標準的な実験動物、あるいは国内外の商用遺伝子改変動物を代理購入することも可能です。術後に十分な回復が確認された後、専用の配送体制により安全かつ確実にお客様のもとへお届けいたします。

 

術後のフォローアップサービス :

  • 日常観察:活動状態、摂食・飲水状況を毎日専任獣医がチェック。必要に応じて術後鎮痛処置も実施

  • 心臓超音波検査(心エコー):小動物専用の高解像度エコー装置により、術前・術後の各時点で心機能を多角的に評価
     - 代表的なパラメータ例:IVSs、IVSd、LVPWs、LVPWd、LVIDs、LVIDd、LV Vols、LV Vold、EF%、FS%
     - ご要望に応じて検査項目のカスタマイズも可能

  • 心電図(ECG)検査:多時間点での心電図モニタリング・解析を実施

  • Evans Blue + TTC 染色解析:急性心筋梗塞モデルでは、灌流領域/梗塞領域/境界領域を明確に染め分け、画像解析により梗塞面積を定量評価

  • 血液サンプル採取:体重に応じて1匹あたり最大0.7~1.0 mLの静脈血採取が可能。必要に応じて血清/血漿を-80°Cで凍結保存し、検査または輸送に対応

  • 心肺サンプルの採取:心・肺を分離・称量し、心臓/肺重量比の算出に加え、以下の処理に対応
     - 即凍結保存(-80°C)
     - ホルマリン固定・パラフィン包埋による病理切片作製

 

 動物倫理審査と手術プロトコルの管理体制

Cyagenでは、動物倫理・使用委員会(IACUC)がすべての実験計画を審査・承認しています。
実験では、麻酔・鎮痛・術前準備・術後ケアを含む全ての手術工程を適切に管理し、動物福祉と科学的妥当性の両立を徹底しています。


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