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アルツハイマー病研究の進歩:治療薬の開発にもヒント

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2021年5月12日

遺伝子編集モデルに加えて、他の方法でAD動物モデルを取得することもできます。その中で、老化モデルと化学的誘導モデルがより一般的に使用されています。遺伝子編集法が成熟する前に、多くのモデリング方法では、薬物やウイルスの外部注射によって動物モデルを構築しました。外部物質が動物の体内に侵入する方法には、呼吸、飲食および水飲み、または強制経口投与、注射などの方法が含まれています。これにより、マウスにADによって引き起こされるものと同様の学習記憶障害を発症させ、ADをシミュレートします。上記の方法の利点は、モデリングが簡単であり、野生型マウスのみが必要であり、モデルが迅速に構築されることです。

 

1. アルツハイマー病研究における手術/薬物の応用

1に、最も一般的に使用されている非遺伝子編集ADモデルおよびそれぞれの長所と短所を示しています。注意すべきことは、これらのモデルには、いずれも老人斑と神経原線維変化という2つの最も重要なAD疾理学的表現型がないことです。したがって、多くの学者は、これらのモデルは記憶障害モデルとしてのみ使用でき、ADモデルとは呼ばれないと考えています。

 

Model Type Model Name Method Advantages Disadvantages
Aging Model Natural Aging Raise the mice till the age of 12-32 months, and conduct an experiment at time points during the period Abiogenesis;
Taken for injury intervention
No Aβ deposition; no NFT deposition; long period.
Aging Model Quick Aging SAMP mice There are some AD-related inflammatory lesions;
There are learning and memory disorders.
High cost; short experiment period.
Chemical Model Aβ Injection Inject Aβ into the hippocampus or ventricle The pathological mechanism of Aβ can be fully studied. No Aβ deposition; no NFT deposition; long period.
Chemical Model Scopolamine Induction Inject scopolamine into the abdominal cavity Easy to inject medicine; the cholinergic hypothesis can be studied. No Aβ deposition; no NFT deposition.
Chemical Model Streptomycin Induction Intracerebroventricular injection of streptomycin Some characteristics of sporadic AD can be simulated. No Aβ deposition; no NFT deposition; mice die easily.

1. AD化学誘導/ウイルスベクター媒介モデル

 

薬物の選択に加えて、投与方法も考慮する必要がある問題です。操作が簡単な静脈内または腹腔内注射の場合、薬物のロスが非常に大きく、血液脳関門を通過できるかどうかという問題もあります。したがって、多くの薬物の送達には、補助方法として脳立体定位注射が必要です。この技術により、私たちは対象とされている脳領域に正確に薬物を直接注射することができます。神経系における薬物の広範な作用による感染を減らす一方、薬物の使用量を減らし、中枢神経系の高精細化実験のために基礎を築きました。 しかし、このような注射方法は、決まった器具および機器への投資および長期的な学習コストが必要です。

 

薬物の注射に加えて、ウイルスベクターを注射して動物の特定脳領域の遺伝子を直接編集することもできます。このような遺伝子編集は、野生型の動物や遺伝子編集された動物に適用できます。たとえば、条件付き発現にAAVを使用する場合、特異的プロモーター+ Cre遺伝子をLoxpラットに注射するか、Cre動物に遺伝子を注射することもできますが、全体的な言えば、前者の方が一般的です。これは、Cre動物よりも既存のLoxp動物の方が多く、かつ、容量の問題があるため、一種目の方法のAAVは操作性がより高いです。ウイルスに対しては注射方式を取っていますので、注射部位、Creのプロモーター、およびAAVの血清型の三つの側面から遺伝子発現またはノックアウトを正確に制御し、実験の信頼性を向上させることができます。

 

 

図1. 手術/薬物補助モデリングおよび脳立体定位注射1

 

サイヤジェンのプロの小動物手術チームは、さまざまなモデリング手法に精通しており、貴方の必要に応じて、ウイルス/プラスミドベクターの構築から薬物/ベクター脳領域の標的注射までのタスクを完了することができます。サイヤジェンのモデルマウスカスタマイズ/繁殖事業と組み合わせることで、より短いサイクルで課題タスクを完了するのを助け、本当にワンストップサービスを提供でき、サイヤジェンが情報の受信、送信、中間モデルの制作、繁殖および生育、手術、表現型分析などすべての作業を行います。

 

2. アルツハイマー病研究におけ認識行動学実験

ADに関する行動学実験には多くの種類があり、大まかに学習記憶類、運動バランス類、精神情緒類、社交グループ類の4つのカテゴリに分けることができます。これらの4種類の行動学実験は、AD表現型の検出に使用されていますが、AD患者自身にもこれらの種類の行動改変があります。人間、霊長類、またはげっ歯類動物モデルのどちらを利用するか関係なく、学習記憶機能の改変と障害が最も明らかです。したがって、水迷路、新しい物体認識、恐怖記憶ボックス、放射線迷路などの行動学検出方法は、ADモデリング効果と薬効評価において最も重要な行動学実験です。表3は、ADに関連する行動学実験のタイプおよび、さまざまな実験で検出されるさまざまな記憶指標をまとめたものです。研究の過程で、動物の記憶機能を評価するために複数の行動学実験が必要になることがよくあります。

 

2. ADに関連する行動学実験の概要

 

多くの行動学実験では、時期によって重点が異なります。初期の研究では、さまざまな洗練された迷路が神経生物学の研究で主導的な地位を占めることがよくありました。しかし、時間が経つにつれて、標準化された実験手順が徐々に主流になっています。さらに興味深いのは、従来の迷路から簡素化されたT/Y迷路の割合が徐々に減少していることです。1980年代初頭に発明された水迷路実験と新しい物体認識は、AD行動学実験の半分を占めました。

 

 

2. ADに関連する主要な行動学試験の改変

 

動物行動学実験は計画的に設計する必要があります。たとえば、動物への刺激が少なく、ADの初期の記憶障害に関連する作業記憶検出に使用されるY迷路実験の時点を一番前に配置できます。新しい物体認識の認知能力の検出も、このタイプの実験に属します。強い刺激を伴う水迷路と放射線水迷路は、実験の途中で行うのが最適であり、異なるタイプの実験の前後に一定の間隔が必要です。図に記載されていない恐怖記憶ボックスは、自分の実験目的に応じて慎重に使用する必要があります。最後の行動実験に使うか、または他の実験との時間間隔を長くする必要があるか、または別の動物グループに変更して実施します。動物が老齢に達すると、Y迷路で刺激が軽い能動的選択実験または新しい物体認識実験を行うことができます。

 

 

3. AD行動実験プロセスの設定2

 

異なる行動学実験には異なる測定指標があり、水迷路の検出指標は、動物が脱出プラットフォームを見つけるのに必要な時間であり、時間が短いほど、マウスの記憶がいいということを示しています。Y迷路は、選択の総回数に対するマウスの正しい選択回数の比率および選択正確率を統計し、正確率が高いほど、マウスの記憶が良いです。 惑星迷路はY迷路に似ていますが、統計できるデータがもっと多いです。新しい物体認識では、新しい物体にもっと興味を持っているマウスの特性を利用して、マウスが新しい物体と古い物体を正しく区別できるかどうかを検出します。具体的に言えば、マウスが新しい物体をさらに探索すると、記憶能力が強いことを示しています。

 

 

4. AD行動実験検出指標3

 

長い間の模索と纏めを経て、サイヤジェンの生物学的小動物表現型分析プラットフォームは、標準化されたAD行動学研究の方法とプロセスを構築しました。現在の一般的な水迷路、Y迷路、新しい物体認識、放射線迷路などはすべてサイヤジェン動物行動センターで研究を行うことができます。特別な行動学実験の場合、サイヤジェンは専門的な場所やカスタマイズされたサービスを提供することもできます。

 

 

3. AD病理学的マーカー

(1)Aβおよび老人斑はADの主要な病理学的特徴です

 

ADを除き、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、さらにはハンチントン病はいずれも記憶能力障害を引き起こす可能性があります。したがって、正確なADモデルには、行動に加えてADの独特な病理学的特徴-βアミロイド沈殿が必要であり、つまり、私たちがよく言う老人斑です。APPの単一遺伝子突然変異のTg2576を例にとると、老人斑を構成する成分は、マウスが6ヶ月齢になると増加し始めます、9ヶ月齢になると老人斑が現れ始めます。これは、病理学的レベルからモデルの構築が成功したことを示しています。一方、Tg2576はMAPT遺伝子の改変がないため、ADの別の病理学的マーカー-神経原線維変化が現れません。しかし、tauリン酸化はある程度増加します。

 

 

5. ADの病理学的進行過程

(Source: 10.33feur.2014.00182)

 

図13の左上は、生後18か月でのAPP/PS1ダブルトランスジェニックマウスの脳組織切片です。脳全体に老人斑が広がっていることがわかります。これらの斑は炎症を誘発し、近くのニューロンの死を引き起こす可能性があり、脳の機能に対する壊滅的な影響を想像することができますが、野生型マウスの脳には明らかな老人斑がありません。図13の右側は、3×Tgマウスの脳の神経原線維変化を示しています。

 

6. ADマウスの老人斑と神経原線維変化 

(Wendy Liu, 2016)

 

サイヤジェンには、プロの病理学的実験室と高度な実験装置があり、灌流、固定、脱水、埋め込み、セクショニング、スライドガラスへの付着、染色、イメージングなどの一連の病理学的実験を完了することができます。ルーチンの病理学的マーカー検出(例えばAD研究におけるAβ40、Aβ42、p-Tauなど)を実行するか、指定された指標に基づいて対応する検出も実行できます。

 

 

(2)APPせん断プロセスの中間生成物

 

APPがAβにせん断される過程で、多くの中間生成物が存在し、Aβ自体でもサイズが異なります。Aβのサイズが異なれば、病理学的影響の程度も異なります。たとえば、Aβ42の毒性はAβ40の毒性よりも高くなります。APPには2つの異なる運命があります。1つは非アミロイド沈殿せん断であり、もう1つはADを引き起こす可能性のあるアミロイドせん断です。前者のAPPは最初にα-セクレターゼADAMによってせん断され、この酵素はAβ領域の中央からAPPを切断し、最初からAβ発生の可能性を排除します。このプロセスでは、APPSα、α-CTFとP3などのユニークな生成物が生じます。2種類目のせん断法はAPPSβ、β-CTFおよびAβが生じますが、これらの生成物の増加はADの病状の深刻さに対してキャラクタリゼーション効果があります。また、異なるAβ形態もADの発症に影響を与えるため、これらの成分の比率を検出することで、ADの病理学的状況を一般的に理解することもできます。

 

 

7. Aβのせん断

(Cuadrado-Tejedor and Garcia-Osta, 2014)

 

たとえば、図15の研究では、著者は上記の複数種類のAPPせん断生成物をテストし、遺伝子編集ラットのAPP遺伝子はβせん断される傾向がありますが、PS1は保護突然変異が発生するか、このような傾向を抑制し、それによってβせん断関連生成物の生成を減らします。

 

8. Aβせん断中間生成物の検出

(Jill Calentline, 2020)

 

Aβ関連製品は分子量が小さいため、WBによる検出効果が良くないため、ELISAキットが必要になる場合が多いです。Aβとその中間生成物の検出を支援するために、サイヤジェンは、現在AD研究で広く使用されている高感度で特異的な標準化された検出キットを提供できるか、あなたがADのミクロ的な病理学的変化を研究するための検出計画を指定することもできます。

 

 

4. シグナル経路研究

行動と病理学は、マクロおよびミクロレベルでADモデルの有効性を検証し、「それは何ですか」の問題を解決しました。「なぜ」の問題を解決するには、シグナル経路の観点から研究する必要があります。人体は精密な「設備」です。どんな改変も全身に影響を及ぼします。したがって、私たちの薬物を研究するには、またはなぜこのような変化またはそのような変化が発生するかを処理するには、ADの病理学的プロセスの情報の流れを研究する必要があり、つまり信号経路をめぐって調査する必要があります。この部分は、最も複雑で、最もモデル化されています。

 

 

9. シグナル経路は表現型研究の重点です。

(Source: www.biorbyt.com)

 

 

5. 研究事例分析

 

 

Research Process of Alzheimer Disease
Research Workflow How Cyagen Support Your Research

Model Construction

● GRK5 regulates GSK3 β, but it has not been found to be associated with AD before

● Based on APP / PS1, GRK5 was mutated to make it lose its function, and a new gene disease model was constructed.

● At the same time, sh-5ysy cell line was used for genetic modification to construct cell model

高効率でインテリジェント化したモデル動物カスタマイズプラットフォーム

● Species: Mouse and Rat

● Method: KO/ cKO / KI / cKI / TG / Humanize

● Technology: TurboKnockout®, CRISPR/Cas9, Transgenic, BAC, Cre-loxP

薬物選別評価マウスモデル

カスタムセルラインサービス

● KO, KI, Overexpression, Point mutations

幹細胞

● Neural Stem Cells

● Other

Model Processing
(Surgical/Drug)

● Protein inhibition was performed in APP / ps1-grk5ko model, and pathway changes were detected (intraperitoneal injection).

● Sh-5ysy-grk5ko was used for protein inhibition and RNA interference to detect the changes of pathway proteins.

● Virus Injection

● Drug Induction

● Surgery

● Other

Behavioral Experiments

● Water maze was used to detect the changes of memory function in 3-month-old, 9-month-old and 14 month old mice

● The detection index is the distance to the escape platform。

/

AD Pathological Detection

● The changes of pathological molecules (GSK3 β, pgsk3 β, tau, PtAu) under different knockout conditions were detected

● Including in vivo mouse detection and cell line detection.

ラット・マウスの表現型解析につき

● Ultrasonography-Blood

● Biochemistry

● Histology&Pathology

● Metabolic Phenotyping

● Gene and Protein Expression

● Cell Function Testing

Signal Pathway Anlaysis

● The changes of GRK5 were detected by ELESA

● WB to detect of downstream GSK3 beta changes

● The cell localization of GRK5 was detected by fluorescence

● The distribution of GRK5 overexpression related proteins induced by virus was detected by fluorescence.

 

 

6. サイヤジェンアルツハイマー病研究のワンステーションソリューション

15年間の発展を経て、サイヤジェン株式会社の成熟で安定した革新的な薬物研究開発プラットフォームは、沢山の神経科学研究者様のために何千例もの遺伝子ノックアウトベクター、遺伝子ノックアウト細胞モデル、遺伝子ノックアウトラットおよびマウスモデルを構築し、モデルのカスタマイズ、ベクターパッケージング注入、行動実験、病理学的マーカー検出、およびメカニズム探索のワンストップサービスの提供に努めてきました。関連記事はNeuron、Nature Neuroscience、Journal of Neuroscienceなどの神経生物学専門ジャーナルに掲載されています。

 

サイヤジェン株式会社の動物モデル

サイヤジェン株式会社の革新性あるCROプラットフォームは研究者様のために多種類の遺伝子工学ラット・マウスモデルとサービスを提供します。

 

高効率でインテリジェント化したモデル動物カスタマイズプラットフォーム

  • KO, KI, cKO, Point mutation
  • TurboKnockout, CRISPR, Transgenic, BAC
  • Cre-loxP

ノックアウトマウスライブラリ

16,000系統以上のKO/cKOマウスは在庫状態がワンクリックで検索でき、最短2週間で納品可能です。

薬物選別評価マウスモデル

  • 免疫不全マウス: C-NKGマウス
  •   代謝疾患モデル及び薬効評価:肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝等 

専門的な動物モデルサポートサービス

動物モデルの作製の他、弊社も表現型解析と他のサポートサービスを提供し、多種類の研究ニーズを満たす実験モデルを設立します。

 

神経科学研究の研究に携わっているなら、若しくは神経変性疾患にご興味を持っているなら、サイヤジェンのエキスパートは高品質な技術サポートを提供し、神経科学研究の最前線技術、学術焦点、応用難点を共同して検討し、研究方案の制定と高得点論文の発表に助力致します。

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推薦文献:

  1. Direct Administration of Clodronate Liposomes into the Cerebrospinal Fluid (CSF) and other Brain Tissue. (n.d.). Retrieved from https://encapsula.com/stereotaxic-administration/
  2. Wolf A, Bauer B, Abner EL, Ashkenazy-Frolinger T, Hartz AM. A Comprehensive Behavioral Test Battery to Assess Learning and Memory in 129S6/Tg2576 Mice. PLoS One. 2016 Jan 25;11(1):e0147733. doi: 10.1371/journal.pone.0147733.
  3. Götz, J., Ittner, L. Animal models of Alzheimer's disease and frontotemporal dementia. Nat Rev Neurosci 9, 532–544 (2008). https://doi.org/10.1038/nrn2420

 

サイヤジェン株式会社について

サイヤジェン株式会社は15年間の発展を経て、全世界の数万人の科学研究者にサービスを提供しており、製品と技術は直接にCNS (Cell、Nature、Science)の定期刊を含む5,200余りの学術論文に応用されています。弊社の「ノックアウトマウスライブラリ」は低価格だけでなく、遺伝子名称を入力すれば、ワンクリックで注文まで操作できます。 ノックアウトマウスノックインマウスコンディショナルノックアウトマウストランスジェニックマウスGFPマウス免疫不全マウス無菌マウスなどのカスタマイズサービスを提供する以外、専門的な手術疾患モデルチームがあり、多種の複雑な小動物手術疾患モデルも提供できます。

 

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