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マウスモデルではヒト化抗体をどのように研究開発するでしょうか?

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2021年6月08日

遺伝子編集技術の継続的な発展と改善に伴い、表現型ヒト化抗体遺伝子モデル技術プラットフォームの構築は、治療用抗体医薬品の研究開発における画期的な革新だけでなく、治療用抗体の医薬品としての研究開発およびその臨床における幅広い応用も推進しています。

 

1. ヒト化抗体遺伝子マウスモデルの確立には何の策略と方法があるでしょうか?

マウスモデルによりヒト化抗体を研究開発する策略とは、マウス免疫系を利用し、ヒト化抗体遺伝子のマウス体内における組換えと体細胞超変異の自然発生プロセスにより、異なる免疫原に対する多様性組合かつ特異性のあるヒト化抗体を発生することです。ヒト化抗体遺伝子マウスモデルの確立は、治療用抗体の研究開発に信頼できる技術プラットフォームを提供しています。その他ヒト化抗体研究開発技術と比べ、遺伝子マウス技術プラットフォームの優位性は、ヒト化抗体の発生にヒト化と更なる抗体組合の多様性が要らず、抗体体内の親和力成熟と抗体複製のスクリーニングが自然な最適化であることにあります。

 

1985年、科学者は最初にヒト化抗体遺伝子をマウス生殖細胞に導入し、トランスジェニックマウスの構築によりヒト化抗体を発生することを提案し、この考え方がヒト化抗体の生産・研究開発のために新しい道を切り開きました。1989年、科学者たちは初めてヒト化IgM抗体重鎖可変領域(VDJを含む)とμ鎖定常領域遺伝子を含む、ヒト化抗体重鎖遺伝子ベクターを構築しました。大きさが約25kbのプラスミドDNAベクターをマウスの受精卵に微量注入することにより、約4%のマウスB細胞でヒト化抗体μ鎖を表現し、ヒト化IgM抗体を発生できるトランスジェニックマウスを取得できました。1993年、科学者たちはマウス抗体重鎖部分(JH)と軽鎖(JK)遺伝子のノックアウトを行い、ヒト化IgHとIgL抗体を表現するトランスジェニックマウスと交尾し、多様性組合を発生できるヒト化抗体トランスジェニックマウスモデルを取得できました。

 

1994年、初めてのヒト化抗体遺伝子マウスHuMabMouse技術プラットフォームが最初に研究開発されました。このマウスモデルはマウス抗体重鎖と軽鎖(IgHとIgK)遺伝子のノックアウトに基づき、ヒト化抗体重鎖と軽鎖遺伝子を表現できるモデルを構築しました。全ヒト化抗体重鎖ゲノムは約1.29Mb、軽鎖ゲノムは約1.39Mbあるのに対し、最初に導入されたヒト化抗体重鎖ゲノムは約80kbしかありませんでした。抗体の多様性組合がその生殖細胞にあるV(D)J遺伝子によるため、どのように導入のヒト化抗体ゲノム容量を増加し、ヒト化抗体ゲノムの多様性を向上するかは、この技術プラットフォームを研究開発するための合理的な策略と解決の必要があるキー技術課題でした。

 

1993年、科学者たちは酵母人工染色体(YAC)ベクターの応用を開始し、酵母同種の組換えにより、それぞれヒト化抗体重鎖(~220kb) と軽鎖(~300kb)ベクターを構築し、酵母-胚性幹(ES)細胞の融合法により、それをマウスES細胞に導入できました。1997年、大フラグメントのヒト化抗体重鎖(~1Mb) と軽鎖(~700kb)のYACをマウスES細胞に導入し、マウス由来抗体遺伝子(可変領域と定常領域)ノックアウトマウスと交尾し、表現型ヒト化抗体遺伝子のXenoMouseマウスモデルを構築できました。この遺伝子マウスにはヒト化抗体重鎖可変領域(VDJ)遺伝子が66個、軽鎖可変領域(VJ)遺伝子が32個含まれます。XenoMouseとHuMabMouseマウスモデルともマウス抗体遺伝子のヒト化抗体遺伝子に対する可能な干渉を徹底的に排除し、ヒト化抗体遺伝子組合の多様性も増加していますが、この二種類のマウス抗体遺伝子が完全にノックアウトされ、即ちマウスに抗体可変領域の遺伝子が不足しているだけでなく、その定常領域の遺伝子もノックアウトされているため、ヒト化抗体の生産有効性が低下し、マウス体内における抗体の種別転換効果と体細胞超変異の発生率が影響されました。

 

2014年、科学者たちは細菌人工染色体(BAC)とCre/loxP組換え技術を応用し、体外ES細胞において、ヒト化抗体重鎖(V-D-J)可変領域と軽鎖(Vk-Jk)可変領域をそれぞれマウス重鎖定常領域(Cμ )と軽鎖定常領域(Ck) の上流領域に挿入し、マウス定常領域に影響を与えない状態で、KyMouseマウスモデルを構築できました。KyMouseマウスが抗原刺激を受けた後、体細胞超変異が発生し、親和力の高いヒト化抗体が発生できます。

 

また、科学者たちは一定数の大フラグメントヒト化抗体遺伝子BACを構築し、一連の微量注入により、相応のBACベクターをマウスES細胞に導入し、ヒト化抗体重鎖と軽鎖可変領域遺伝子が相応のマウス抗体の重鎖と軽鎖可変領域遺伝子を入れ替えるよう実現し、マウス抗体遺伝子定常領域を保留する状態で、Veloclmmuneマウスモデルを構築できました。

 

2. 現在これらヒト化抗体の臨床応用進捗はどうでしょうか?

現在、ヒト化抗体遺伝子マウス技術プラットフォームにより治療用抗体を研究開発している生物医学企業は主に以下の7社があります:1.Cell Genesys/Abgenix社が研究開発したXenoMouseマウス;2.Genpharm/Medarex社のHuMAbMouseマウス、その後、二社がそれぞれ2005年にAmgen社に、2009年にBristol Myers Squibb社に買収;3.Kymab社のKyMouse;4.Regeneron社のVelociMouseマウス;5.Harbour Biomed社のH2L2マウス;6.Trianni社のTrianniマウス;7.Ablexis社のAlivaMabマウス。しかし、現在承認されたヒト化抗体もXenoMouse、HuMAbMouseとVelociMouseという三つの遺伝子マウス技術プラットフォームからのものです。

 

今までは、HuMabMouseマウス技術プラットフォームにて研究開発され、承認されたヒト化抗体はすでに8個あり、うち抗CTLA-4抗体YervoyIと抗PD-1抗体 Opdivoという二つの抗体がそれぞれ2011年と2014年に承認され、まず悪性黒色腫患者の治療に使用されました。抗CTLA-4抗体が免疫チェックポイント抑制因子CTLA-4と結合し、CTLA-4とAPC細胞表面にあるB7との結合を抑制し、細胞毒性Tリンパ球を活性化し、腫瘍細胞を消滅する役割を果たします。同様に、抗PD-1抗体が免疫チェックポイント抑制因子PD-1と結合し、その腫瘍特異性T細胞に対する免疫抑制効果を阻止し、腫瘍治療の目的を果たします。HuMabMouseマウスプラットフォームで承認された抗IL-12サブユニットp40とIL-23抗体が、プロ炎症性シグナルを阻止し、プロ炎症性を減少する効果を果たし、臨床上における自己免疫疾患の治療に使用されています。この二つの抗体はそれぞれ2009年と2016年に、重篤局面性類乾癬とクローン病に対する治療が承認されました。

 

XenoMouseマウスプラットフォームで研究開発され、承認されたヒト化抗体は7個あります。2006年初めての全ヒト化抗EGFR抗体は、EGFR表現型(KRAS遺伝子突然変異無)転移性大腸癌患者の治療に使用されています。このヒト化抗体はEGFRとそのリガンドの結合を阻止し、EGFRシグナルの通路を抑制し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導します。それ以外の2つのヒト化抗体は皮膚に関する自己免疫疾患の治療に使用されています;うち一つはヒト化抗IL-17抗体であり、乾癬患者の炎症反応を減少する役割を果たします。もう一つはヒト化抗IL-17受容体抗体であり、IL-17ファミリー細胞因子に対する抑制効果を発揮します。それぞれ2015年と2017年に米国のFDAに承認され、臨床上で乾癬患者の治療に使用されています。

 

二代目のヒト化抗体遺伝子Veloclmmuneマウス技術プラットフォームとして、抗IL-4受容体抗体、IL-4とIL-13を抑制するシグナル通路、および抗IL-6受容体抗体という四つのヒト化抗体医薬品が研究開発されました。2017年に承認された抗IL-6受容体抗体は、IL-6シグナル通路を抑制することにより、幹細胞による炎症関連因子の釈放を低減し、関節リウマチ等自己免疫疾患の治療を実現し、新型コロナウィルス肺炎の治療において、この種類の抗体がウィルスによるサイトカインストームを緩和できると考えられます。

 

 

 

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