<論文解読>慢性膵炎の新規動物モデル

ボストン大学の口腔医学院が行った新型慢性慢性膵炎動物モデルについての研究がNature Communicationsに発表された。本研究は、弊社が作製したT7D23A遺伝子ノックインマウスを使用した。

 

慢性膵炎は膵臓で作られる消化酵素(膵酵素)が活性化されて、自分の膵臓組織をゆっくりと溶かす慢性的な炎症で、急性膵炎、再発性急性膵炎、慢性膵炎などがあり、腹痛、吐き気、発熱などの症状を引き起こしますが、専門治療法はまだない。従来の研究では、消化酵素或いはその抑制遺伝子をコードする遺伝子に変異が発生する場合急性膵炎になり、徐々に慢性膵炎になることが証明された。しかし、遺伝子突然変異による発病は大量の遺伝学及び生化学データにより証明されたが、まだ適切な動物モデルによるデータは不十分であった。特に、膵酵素の自己活性化によりる自発性慢性膵炎の動物モデルがないため、膵酵素に対する治療薬の前臨床試験を阻害してきた。

 

ボストン大学口腔医学院はトリプシン(T7サブタイプ)p.D23A突变を持つマウスモデルの開発のより、膵炎研究と治療に有用なモデルを提供した。(T7サブタイプ)p.D23A変異は、変異型と野生型の遺伝子発現レベルが同じレベルで、特に明らかな表現型を示せず、正常繁殖可能であることが報告された。

 

T7D23Aマウスは自発性急性慢性膵炎を発病する

著者らはT7D23Aマウスの膵臓の形態について観察したところ、2-3週の時は正常であるが、4-5週から大きく変化し、2カ月後には明らかに小さくなったことを観察した。4-5週の時、過半数のマウスが明らかな症状が観察できた。膵臓切片からも管状複合物の出現、膵臓拡張など早期性慢性膵炎の特徴がみられ、2カ月から6-12カ月までは、組織学画像で脂肪が増加し、炎症性細胞や管状複合物の量が減少することが観察できた。さらに、拡張された膵管周囲の線維化も一般的で、時々好酸性物質が観察でき、これらは慢性膵炎末期の特徴である。

 

T7D23Aマウスにおける血漿アミラーゼ活性測定

アミラーゼは急性膵炎の診断に最も一般的に使用される指標である。したがって、著者らは、各年齢のT7D23Aマウスの血漿アミラーゼ活性を測定て、4-5週目に組織学画像および膵臓重量測定によって示されるように、約40%のマウスからアミラーゼの測定値が高いことを観察しました。しかし、著者らはそれらは研究した全てのマウスにおいて急性膵炎の指標を観察できなかった。これは、サンプリングの時期と発病年齢に関連する可能性があり、全てのマウスが急性膵炎発症するわけではない可能性もある。

 

T7D23Aマウスの膵臓におけるトリプシン活性に関する研究

著者らは、3週齢(病理学的変化なし)、4週齢(急性または早期慢性膵炎)、および2月齢(後期慢性膵炎)T7D23Aマウスで、新たに調製した膵臓ホモジネート中のトリプシンを測定した。同年齢のコントロールマウスと比較して、3週齢でトリプシン活性の増加は検出されなかったが、4週齢で高い値が検出された。2ヶ月齢では、機能的腺房細胞の減少にもかかわらず、酵素活性の増加が観察され、これは膵臓におけるトリプシンの活性化は疾患中持続的存在することを示している。これらの結果は、変異体p.D23Aがトリプシノーゲン自己活性化を増加させるという事実と相まって、膵臓トリプシノーゲン自己活性化が急性膵炎の発症およびそれに続く慢性膵炎の発症につながり得るという結論を支持する。

 

T7D23A、K24Gマウスは膵臓疾患を発症しない

トリプシンの自発的活性化とは無関係の疾患メカニズムを除外するために、著者らはT7D23A変異以外に、トリプシノーゲン活性化サイトLys24も変異した、p.D23A、K24Gダブル変異マウスを作製した。このマウスは、5.5ヶ月まで自発的な膵臓の病理学的変化を示さなかった。この結果は、トリプシノーゲンのミスフォールディングのようなメカニズムがT7D23Aマウスにおいて表現型を引き起こさないという説得力のある証拠を提供し、トリプシノーゲン自己活性化の病原的役割を証明した。

 

T7D23Aマウスとヒト膵炎の特徴比較

著者らは、この新しいモデルがヒト膵炎の臨床的特徴と似ていて、常に先に急性膵炎へ発展し、その後不可逆的な慢性膵炎へ発展する。しかし、彼らはヒトでしばしば起こる急性膵炎の繰り返しの発病を観察できなかった。この違いは、使用されたトリプシノーゲンの変異による可能性があります。彼らは、膵臓におけるトリプシノーゲンの自発的活性化による慢性膵炎のマウスモデルを最初に報告したと考えています。このモデルは、遺伝的変異に関連するヒト慢性膵炎の特徴を要約している。 T7D23Aマウスは明らかな膵臓の病理学的変化を示すが、通常通り、成年期までに繁殖することができます。これは前臨床適用の前提条件になる。

 

「このモデルはトリプシノーゲンの自発的活性化が慢性膵炎の発症と進行を促進する可能性があるという直接的なin vivo証拠を提供し、治療は膵臓のトリプシンを標的とすべきである可能性を示した」と著者らは結論を付けた。

 

論文检索

A preclinical model of chronic pancreatitis driven by trypsinogen autoactivation

Andrea Geisz & Miklós Sahin-Tóth

Nature Communications 9, Article number: 5033 (2018)

 

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