TLRsは動物の細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫を作動させる機能がある(Akira et al., 2006)。TLRは、免疫系だけではなく、アストロサイトやミクログリアなどの神経系にも発現される(Kielian, 2006; Crack and Bray, 2007)。
いくつかのTLRs、後根神経節(DRG)および脊髄における疼痛および痒みの発病において重要な役割を果たしているとの報告があった(Liu et al.,2002)。その中でもTLR 7及びTLR 8遺伝子は両方X染色体に位置して、高い相同性を有しているが、TLR 8は機能しないと考えられ、TLR 8に関する研究はTLR 7より少なかった(Jurk et al.,2002)。しかしながら、最近の研究では、TLR 8は神経突起成長のネガティブレギュレーターである同時に、マウスのニューロンアポトーシスのインデューサーであると報告された(Ma et al.,2006, 2007)。微生物の攻撃及び実験的自己免疫性脳髄炎の応答過程では、TLR 8はマウス中枢神経系(Cns)でも発現される。これらのデータは、TLR 8は活性を持つだけでなく、生物学的機能も有することを示している。TLR 7はニューロン内で発現され、DRG及びTRPA 1とのカップリングにより痒み/痛みに関わると報告された(Liu et al., 2010)。したがって、著者らはTLR 8が痒み/痛みとそのメカニズムに関与しているかどうかを調べることは意味があると報告した。
最近の研究では、腫瘍分泌物のMiR-21及びmiR-29aはヒト免疫細胞でTLR8と結合し、TLRによる転移性炎症反応を誘発して、最終的に腫瘍の増殖と転移を引き起こすと報告された(Fabbri et al.,2012)。しかしながら、内因性micro RNAがDRGのTLR8を活性化し、細胞内キナーゼによるニューロン損傷後の炎症メディエーターの産生を誘発するかはまだ不明である。
TLR8が痒み・痛みにおける役割を検討するため、中国南通大学のGao教授らは、CyagenにTLR8ノックアウトマウスの作製を依頼し、それを利用してmiR-21-TLR8シグナルが万政党つ薬物開発の新しい標的としての可能性を示唆した。この研究はThe Journal of Experimental Medicine(JEM)に発表された。
高永静研究团队
Gao yong jingグループ:
長期的に慢性疼痛のメカニズムに関する研究に取り組み、基礎研究と実用化に着目して、その研究を60以上のSCI論文を発表し、3000回以上引用されるなど、一連の研究成果を残した。Gao教授は、Neuroscience Bulletinの編集者、中国疼痛学会基礎グループの副グループ長であり、Journal of Clinical Investigationなど国際的ジャーナルを含んで30以上の論文を責任著者として発表した。
原文:
TLR8 and its endogenous ligand miR-21 contribute to neuropathic pain in murine DRG.J. Exp.Med.2018 Vol.215 No.12 3019–3037.
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