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APOEノックアウトマウス

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2021年7月14日

サイヤジェン株式会社の「Weekly Research Model」のコラムは、皆様にマウスモデルの物語を毎週の更新で説明します。異なる病気研究に対応のマウスモデルを理解するのに役立つことを願っています。

今回ご紹介するのはApoeノックアウトマウスです。

 

背景紹介

Apoeがコードするアポリポ蛋白質Eとは、一種のカイロミクロンを輸送する脂質粒子に関連するタンパク質である。その特定の肝臓および末梢細胞受容体との結合は、トリグリセリドに富むリポタンパク質成分の正常な分解代謝に不可欠な存在である。ApoEは、超低密度リポタンパク質(VLDL)と高密度リポタンパク質(HDL)の成分であり、コレステロールの輸送に関与している。ヒトのリポタンパクプロファイルとは対照的に、マウスの体内HDLはより高いが、低密度リポタンパク質(LDL)はより低く、そのコレステロールは主にHDLに含まれている。この遺伝子の変異は、家族性リポタンパク血症またはIII型高脂血症(HLPIII)を引き起こす恐れがある。そしてアテローム性動脈硬化症とアルツハイマー病もこの遺伝子の多型と密接に関連している。

 

Apoeノックアウトマウスの表現型

ホモ接合型ApoeノックアウトマウスはAPOEタンパク質を欠いており、マウスは正常に発育しているが、その総血漿コレステロールの増加と自発性アテローム性動脈硬化症の傾向を示している。このモデルは、脂質代謝、アテローム性動脈硬化症、神経損傷におけるAPOEの役割、及びアテローム性動脈硬化症のプロセスにおける介入療法の研究に利用できる。

図1.Apoeノックアウトマウスの末梢APOEの欠如によるリポタンパク質粒子の増加|サイヤジェン株式会社

図1.Apoeノックアウトマウスの末梢APOEの欠如によるリポタンパク質粒子の増加[1]

 

ApoE遺伝子をノックアウトした後、コレステロールは主にVLDLのなかに分布し、搭載の大量のコレステロールは細胞表面のリポタンパク質受容体と結合できず、分解されて蓄積し、アテローム性動脈硬化症を引き起こす。研究によると、ApoE-/-マウスは、高コレステロール血症(300-500mg/dL)を自発的に発症し、通常の食事環境下で顕著なアテローム性動脈硬化症を発症される恐れがある。高脂肪/高コレステロールのアテロームを引き起こす食事は、血漿のコレステロール値を1000mg/dL以上増加させ、アテローム性動脈の硬化を加速させる。ApoE-/-マウスの血漿中のトリアシルグリセロールのレベルも正常なマウスより68%高く、年齢や性別に関係なくその高密度リポタンパク質は正常なマウスのわずか45%である。これらのマウスの病変は、主に大動脈根、大動脈弓、腕頭動脈、大動脈枝、腎動脈分岐の部位に発生する。通常の食事条件下では、初期の泡沫細胞病変は10週間以内に発生する可能性がある。15週間後にはアテローム性動脈硬化症に発展する。そして20週間後には、晩期の線維病変にまで発展する。高脂肪/高コレステロール食事はこの発病を加速させる恐れがあり、これにはコレステロール結晶、壊死性コア、石灰化の形成の促進なども含む。

 

研究応用

1.タバコの煙との接触を減少する環境における心血管および呼吸器疾患に関する研究

アテローム性動脈硬化症とは一種の慢性疾患であり、その全身性炎症は動脈内膜のプラークの蓄積の元である。Apoe-/-マウスの全身性炎症誘発性状態も、慢性閉塞性肺疾患の研究の良い候補になり、肺の炎症、気道閉塞および肺気腫を特徴とし、喫煙を含む心血管疾患も含む共通のリスク要因である。

図2.脂質の不均衡、内皮機能障害、および全身性炎症が共にApoe-/-マウス(およびヒト)のアテローム性動脈硬化症と肺の炎症への発症を決定する|サイヤジェン株式会社

図2.脂質の不均衡、内皮機能障害、および全身性炎症が共にApoe-/-マウス(およびヒト)のアテローム性動脈硬化症と肺の炎症への発症を決定する。[3]

 

2.心血管機能の影響に関する研究

アテローム性動脈硬化症のマウスモデルとマウスの体内で血行動態を測定する技術を組み合わせ、心血管機能に対する高コレステロール血症及び/或はアテローム性動脈硬化症の影響を研究することができる。それから、マウスモデルにおける一酸化窒素、活性酸素、老化および食事の心血管機能障害への相互作用の研究に使用できる。

 

3.アテローム性動脈の硬化過程における介入療法

  • 栄養介入研究:異なる飲食(栄養レベルの異なる程度の不足或は増加)は、プラークの形態の変化を引き起こしたり、不安定性を引き起こしたりする可能性がある。
  • 薬理学的研究:周知の血中脂質低下薬物のApoe-/-マウスのアテローム性動脈硬化症の病変部位面積への影響及び炎症性疾患としてのアテローム性動脈硬化症への関心も、Apoe-/-マウスモデルの対抗炎症薬物としてのアテローム性動脈硬化症への研究を促進している。

 

Apoeノックアウトマウスを利用し、我々は脂質代謝、神経系、免疫系におけるAPOEのメカニズムを研究できる。また、多くの疾患固有のモデルマウスとハイブリダイズして、APOEと疾患固有のシグナル伝達経路の間にどんな相互関係があるのか見つけることもできる。従って、病気の病理学的調査と相応の標的の発見において、Apoe遺伝子編集マウスは研究者にとって必要不可欠な武器になるだろう。

 

関連記事: 

>>【Gene of the Week】アルツハイマー病の原因遺伝子APOE

 

参考文献:

1. Lane-Donovan C, Wong WM, Durakoglugil MS, Wasser CR, Jiang S, Xian X, Herz J. Genetic Restoration of Plasma ApoE Improves Cognition and Partially Restores Synaptic Defects in ApoE-Deficient Mice. J Neurosci. 2016 Sep 28;36(39):10141-50. doi: 10.1523/JNEUROSCI.1054-16.2016. Epub 2016 Sep 28. PMID: 27683909; PMCID: PMC5039258.

2. Plump AS, Smith JD, Hayek T, Aalto-Setälä K, Walsh A, Verstuyft JG, Rubin EM, Breslow JL. Severe hypercholesterolemia and atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice created by homologous recombination in ES cells. Cell. 1992 Oct 16;71(2):343-53. doi: 10.1016/0092-8674(92)90362-g. PMID: 1423598.

3. Lo Sasso G, Schlage WK, Boué S, Veljkovic E, Peitsch MC, Hoeng J. The Apoe(-/-) mouse model: a suitable model to study cardiovascular and respiratory diseases in the context of cigarette smoke exposure and harm reduction. J Transl Med. 2016 May 20;14(1):146. doi: 10.1186/s12967-016-0901-1. PMID: 27207171; PMCID: PMC4875735.

4. Vasquez EC, Peotta VA, Gava AL, Pereira TM, Meyrelles SS. Cardiac and vascular phenotypes in the apolipoprotein E-deficient mouse. J Biomed Sci. 2012 Feb 13;19(1):22. doi: 10.1186/1423-0127-19-22. PMID: 22330242; PMCID: PMC3306747.

5. Zhang SH, Reddick RL, Burkey B and Maeda N. Diet-induced atherosclerosis in mice heterozygous and homozygous for apolipoprotein E gene disruption. J Clin Invest 1994; 94: 937-945.

6. Jawień J, Nastałek P and Korbut R. Mouse models of experimental atherosclerosis. J Physiol Pharmacol 2004; 55: 503-517.

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