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免疫と炎症の研究分野で人気のある遺伝子IL17A

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2021年6月24日

遺伝子は多くの人類疾患の内因性要素であり、病気に関する遺伝子の研究は生命医学研究分野の主流である。病気に関する遺伝子及びこれらの遺伝子の概況をどのように迅速に把握するか?大量の文章を読み情報を収集し、スクリーニングするのは本当に時間と精神力が必要である。そのため、サイヤジェン株式会社の新たなコラム「Gene of the Week」が毎週オンラインで情報を紹介することになりました。研究者様が毎週遺伝子を1つ把握させるために、毎週遺伝子を1つご紹介します。もし少しでもお役に立てたのであれば幸いです。

 

今日はIL17A遺伝子をご紹介いたします。 

 

遺伝子基本情報

 

人類

マウス

ラット

染色体

6番

1番

9番

遺伝子全長(bp)

4264

3592

3488

mRNA(nt)

1871

1171

1144

エクソン数量

3

3

3

アミノ酸数量

155

158

158

相同遺伝子

IL17B, IL17C, IL17D, IL17E, IL17F

 

サイヤジェン株式会社のマウスモデル 

在庫状態

カスタマイズ

精子バンク

生体

ノックアウト

コンディショナルノックアウト

 

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IL17A遺伝子研究の概要

IL17A(インターロイキン17Aである。CTLA8とも称する)はIL-17受容体ファミリーのメンバーであり、この遺伝子がコードしたタンパク質は活性化されたT細胞から発生する炎症促進サイトカインである。IL-17Aが介した下流ルートは炎症分子、ケモカイン、抗微生物ペプチド、リモデリングタンパク質の発生を誘導する。コードしたタンパク質は宿主防御、細胞輸送、免疫調節、組織修復に重要な影響を与え、先天免疫防御の誘導に重要な役割を果たす。この細胞因子は非造血細胞を刺激して、ケモカインの発生を促進し、髄様細胞を炎症部位に集める。このサイトカインはまた、NF‐κBと分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼの活性を調節し、IL6とシクロオキシゲナーゼ2(PTGS2/COX-2)の発現を刺激し、一酸化窒素(NO)の発生を増強することができる。

 

IL-17Aは各種の伝染病、炎症と自己免疫疾患と癌で重要な役割を果たしている。高レベルのこのサイトカインは、リウマトイド関節炎、乾癬、多発性硬化症を含むいくつかの慢性炎症性疾患と関連している。Th17細胞とIL-17もクローン病(CD)と潰瘍性結腸炎(UC)と関連している。これは2つの主要な炎症性腸病(IBD)である。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による肺損傷はサイトカイン(例えばIL17A)が炎症反応を増強する結果と強く関連している。

 

宿主防御では、IL-17Aは細胞外の細菌や真菌による感染に対して重要な役割を果たすことが証明されている。しかし、IL-17Aは、好中性が粒細胞の炎症を促進することによりインフルエンザなどのウイルスの感染に害があるようである。実験的肺炎モデルでは、IL-17AまたはIL-17RAノックアウトマウスは肺炎クレブシエラ菌などの各種のグラム陰性細菌と肺炎マイコプラスマに対する感度を増加した。対照的に、データはIL-23およびIL-17Aが細胞内細菌ムーフ杆菌に対する初めての感染に抵抗する必要がないことを示している。IL-17RAノックアウトマウスとIL-23p19ノックアウトマウスともムーフ杆菌の原発感染を除去した。しかし、異なる細胞内フランシセラ・ツラレンシスからの原発感染を防ぐのにIL-17Aが必要である。

図1.インフルエンザに感染した野生型マウスとIL-17RAノックアウトマウスとの肺組織ホモジェネートでの炎症性サイトカインレベルの差異|(Cyagen Japan) 

図1.インフルエンザに感染した野生型マウスとIL-17RAノックアウトマウスとの肺組織ホモジェネートでの炎症性サイトカインレベルの差異

 

IL-17RAノックアウトマウス、IL-17Aノックアウトマウス、インフルエンザウイルス(PR8株)と2009年インフルエンザ大流行H1N1毒株を使ってマウスモデルを研究した結果、IL-17Aは急性肺損傷を介する中で不利な役割を果たしていることがわかった。

 

腫瘍発生において、IL-17Aは、抗腫瘍免疫を弱めるために、髄様由来抑制性細胞(MDSC)を募集することができる。IL-17Aはまた、IL-6を誘導することによって、体内の腫瘍の成長を高めることができる。IL-6はさらに発癌性転写因子信号の伝達とSTAT3を活性化し、腫瘍の生存と血管発生促進遺伝子を上げる。IL-17Aノックアウトマウスは転移性肺部黒色腫に対してもっと敏感である。これはIL-17Aが細胞毒性T細胞の有効抗腫瘍細胞因子IFN-γの発生を促進する可能性があることを示している。確かに、卵巣がんからのデータは、Th17細胞がNK細胞の介する免疫力と抗腫瘍CD8反応に関連していることを示している。

 

ヒト組織におけるIL17A遺伝子の発現

ヒト組織におけるIL17A遺伝子の発現 | (Cyagen Japan) 

図2.  ヒトとマウスとのTREM2遺伝子mRNAの相対発現量。小腸は最も発現量が高い器官であり、十二指腸の発現は人とマウスではっきりと異なっている(データは正規化された。同じ種の比較であり、マウスとヒトとの間では比較可能性がない)。データソース:NCBI。

 

IL-17Aは炎症、自己免疫疾患と宿主防御などの分野で重要な役割を果たし、次第に医学や免疫学の人気研究となっている。IL-17Aは自己免疫疾患治療の新時代を開始した。secukinumabが発売された後で売上高が急速に上昇することはこの標的の成功を証明した。自己免疫疾患の薬物需要の増加に伴い、IL-17類の抑制剤は薬学、免疫学などの分野で期待され、世界中の多くの製薬企業が配置し、関連する薬物の開発が相次いで臨床試験の段階に入っている。

 

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推薦文献:

1. Yao Z, Painter SL, Fanslow WC, Ulrich D, Macduff BM, Spriggs MK, Armitage RJ (December 1995). "Human IL-17: a novel cytokine derived from T cells". Journal of Immunology. 155 (12): 5483–6.

2. Kennedy J, Rossi DL, Zurawski SM, Vega F, Kastelein RA, Wagner JL, Hannum CH, Zlotnik A (August 1996). "Mouse IL-17: a cytokine preferentially expressed by alpha beta TCR + CD4-CD8-T cells". Journal of Interferon & Cytokine Research. 16 (8): 611–7.

3. Cua DJ, Tato CM (July 2010). "Innate IL-17-producing cells: the sentinels of the immune system". Nature Reviews. Immunology. 10 (7): 479–89.

4. Mathur AN, Chang HC, Zisoulis DG, Stritesky GL, Yu Q, O'Malley JT, Kapur R, Levy DE, Kansas GS, Kaplan MH (April 2007). "Stat3 and Stat4 direct development of IL-17-secreting Th cells". Journal of Immunology. 178 (8): 4901–7.

5. Yao Z, Fanslow WC, Seldin MF, Rousseau AM, Painter SL, Comeau MR, Cohen JI, Spriggs MK (December 1995). "Herpesvirus Saimiri encodes a new cytokine, IL-17, which binds to a novel cytokine receptor". Immunity. 3 (6): 811–21.

6. Ye P, Rodriguez FH, Kanaly S, Stocking KL, Schurr J, Schwarzenberger P, Oliver P, Huang W, Zhang P, Zhang J, Shellito JE, Bagby GJ, Nelson S, Charrier K, Peschon JJ, Kolls JK (August 2001). "Requirement of interleukin 17 receptor signaling for lung CXC chemokine and granulocyte colony-stimulating factor expression, neutrophil recruitment, and host defense". The Journal of Experimental Medicine. 194 (4): 519–27.

 

サイヤジェン株式会社について

サイヤジェン株式会社は15年間の発展を経て、全世界の数万人の科学研究者にサービスを提供しており、製品と技術は直接にCNS (Cell、Nature、Science)の定期刊を含む5,200余りの学術論文に応用されています。弊社の「ノックアウトマウスライブラリ」は低価格だけでなく、遺伝子名称を入力すれば、ワンクリックで注文まで操作できます。 ノックアウトマウスノックインマウスコンディショナルノックアウトマウストランスジェニックマウスGFPマウス免疫不全マウス無菌マウスなどのカスタマイズサービスを提供する以外、専門的な手術疾患モデルチームがあり、多種の複雑な小動物手術疾患モデルも提供できます。

 

 

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