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遺伝疾患とゲノミクス

タイミングと場所を精密に制御:条件付きおよび誘導性遺伝子発現

Cyagen Technical Content Team | June 11, 2025
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目次
01. 組織特異的かつ誘導性プロモーター 02. 再結合酵素 03. 参考文献
遺伝子工学的手法を用いた動物モデルの初期段階では、単純なノックアウトおよびトランスジェニックマウスが用いられ、特定遺伝子の機能を解析する手段として活用された。研究者たちは、特定遺伝子を欠損または過剰発現させたマウスの表型を解析することで、個々の遺伝子の役割を解明しようとした。しかし、恒常的なノックアウトやトランスジェニックモデルでは、多くの遺伝子の機能を正確に解析することは困難である。例えば、成体において重要な機能を有する遺伝子は、発生初期段階でも必須の役割を果たす場合があり、その結果、胚発生段階での致死性を示すことがある。現在では、遺伝子発現を空間的・時間的に精密に制御可能な、条件付きおよび誘導性動物モデルが多数開発されており、これらのモデルは遺伝子機能解析に不可欠なツールとなっている。

組織特異的かつ誘導性プロモーター

多くの細胞タイプや発生段階において、特定の時機および部位でトランスジェニック発現を制御可能な、well-definedなプロモーターまたはエンハンサーが既に報告されている。これらのプロモーターは、誘導性および条件付きシステムと組み合わせることで、関心のある遺伝子の発現を厳密に制御可能となる。

マウスモデルにおいて最も広く用いられ、効果的な薬物誘導系は、テトラサイクリン(tet)応答性プロモーターを基盤とするものである。tet-ONおよびtet-OFFの2種類のシステムが存在し、薬物投与によって遺伝子発現を可動または不活性化できる。この薬物誘導プロモーター系により、関心遺伝子の発現を可逆的に活性化・不活性化することが可能となる。

再結合酵素

再結合システムは、特定の発生段階または特定細胞系において、遺伝子発現の条件付きかつ安定的な誘導または抑制を可能にする。代表的な再結合酵素であるCreは、特定の配列(loxP)を認識し、2つのloxP配列間で再結合を触媒する。組織特異的または誘導性プロモーター下でCreを発現するマウスと交配することで、Creによる再結合は特定の組織や時機に限定される。

設計されたアレル内におけるloxP配列の配置によって、Cre発現は多様な効果をもたらす。最も一般的な用途は、loxP配列に挟まれた領域(「floxed」と呼ばれる)をCreによって切除し、遺伝子を条件付きノックアウトすることである。また、ロックス・ストップ・ロックス(LoxP-Stop-LoxP)構造を用いることで、トランスクリプションの遮断領域を除去し、条件付きで遺伝子を活性化することも可能である。この方式は、癌関連遺伝子の組織特異的活性化に用いられ、多数の組織特異的腫瘍モデルの構築に成功している2-3。

他にも、条件付きアレルの作成に利用可能な再結合酵素系が存在する。バクテリオファージD6由来のDre再結合酵素はCreと類縁であり、loxPとは異なる配列(rox)を認識する4。Flippase(FLP)は、FRT(Flippase Recognition Target)と呼ばれる2つの認識配列間でDNA再結合を媒介する再結合酵素である5。

Creの発現を薬物誘導性プロモーターと結合させることで、発現タイミングをさらに制御可能であるが、もう一つの有効な戦略は、エストロゲン受容体結合ドメインの変異体とCreを融合させたCre-ERの利用である。誘導されていない状態ではCre-ERは細胞質に局在するが、4-ヒドロキシタモキシフェンを添加することで核内に移行し、Creによる再結合が誘導される6-7。

Cyagenでは、次世代独自技術であるTurboKnockout™を用いて、高度に複雑な条件付きノックアウト(cKO)およびノックイン(KI)モデルを6〜9か月で提供可能。ラットにおけるcKO/KIモデルが必要な場合、ターゲット遺伝子編集技術を活用したモデル作成も対応可能。

当社提供のすべてのトランスジェニックモデルは、Cre/loxシステム、Tet-onシステムをはじめ、多数の条件付きおよび誘導性アプローチを搭載しており、遺伝子発現のより精密な制御が可能である。以下に代表的なモデルを示す。

マウスモデル ラットモデル
プラスミド/BACベースのトランスジェニック プラスミド/BACベースのトランスジェニック
PiggyBacトランスジェニック PiggyBacトランスジェニック
PiggyBac-on-BACトランスジェニック PiggyBac-on-BACトランスジェニック

参考文献

  1. Senno L, Yizhar O, Deisseroth K. The development and application of optogenetics. Annu Rev Neurosci. 2011;34:389-412.
  2. Jhang F, Vierock J, Yizhar O, Fenno LE, Tsunoda S, Kianianmomeni A, Prigge M, Berndt A, Cushman J, Polle J, Magnuson J, Hegemann P, Deisseroth K. The microbial opsin family of optogenetic tools. Cell. 2011 Dec 23;147(7):1446-57.
  3. Tuveson DA, Shaw AT, Willis NA, Silver DP, Jackson EL, Chang S, Mercer KL, Grochow R, Hock H, Crowley D, Hingorani SR, Zaks T, King C, Jacobetz MA, Wang L, Bronson RT, Orkin SH, DePinho RA, Jacks T. Endogenous oncogenic K-ras (G12D) stimulates proliferation and widespread neoplastic and developmental defects. Cancer Cell. 2004 Apr;5(4):375-87.
  4. Sauer B, McDermott J. DNA recombination with a heterospecific Cre homolog identified from comparison of the pac-c1 regions of P1-related phages. Nucleic Acids Res. 2004 Nov 18;32(20):6086-95.
  5. Sadowski PD. The Flp recombinase of the 2-microns plasmid of Saccharomyces cerevisiae. Prog Nucleic Acid Res Mol Biol. 1995;51:53-91.
  6. Metzger D, Clifford J, Chiba H, Chambon P. Conditional site-specific recombination in mammalian cells using a ligand-dependent chimeric Cre recombinase. Proc Natl Acad Sci U S A. 1995 Jul 18;92(15):6991-5.
  7. Schwenk F, Kuhn R, Angrand PO, Rajewsky K, Stewart AF. Temporally and spatially regulated somatic mutagenesis in mice. Nucleic Acids Res. 1998 Mar 15;26(6):1427-32.

遺伝子標的化マウスモデルのワンストップソリューション:

TurboKnockout™ ゲノム標的化 – ES細胞ベースのノックアウトマウス、100%遺伝子伝達保証、最短6か月

ターゲット遺伝子編集ノックアウト – 遺伝子伝達保証のF1動物、最短3か月

トランスジェニックマウス – より一貫した発現、定義された統合領域、最短3か月でファウンダー獲得

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