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【Gene of the Week】免疫研究の人気標的CD39

Cyagen Technical Content Team | October 01, 2021
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目次

目次

01 CD39の機能 02 CD39の発現 03 eATPとADOがTMEにおける役割 04 CD39抑制剤の抗腫瘍免疫メカニズム 05 CD39を標的にする組み合わせ免疫療法 06 まとめ 07 CD39ヒト化マウスを使い、腫瘍研究を助力する

遺伝子は多くの人類疾患の内因性要素であり、病気に関する遺伝子研究は生命医学研究分野の主流である。病気に関する遺伝子及びこれらの遺伝子の概況をどのように迅速に把握するか?大量の文章を読み情報を収集し、スクリーニングするのは時間が必要である。そのため、サイヤジェン株式会社の新たなコラム「Gene of the Week」が毎週オンラインで情報を紹介することになりました。研究者様が毎週遺伝子を1つ把握できるために、毎週遺伝子を1つご紹介します。少しでもお役に立てたのであれば幸いです。

本日ご紹介するのは免疫研究の人気標的CD39です。

CD39の機能

CD39とは、エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ-1(Ectonucleoside triphosphate diphosphohydrolase-1)とも呼ばれ、ENTPD 1遺伝子によりコードされて生成する。CD39は膜貫通タンパク質であり、2つの膜貫通ドメインと1つの細胞外ドメインを持つ。CD39の活性中心は細胞外ドメインにあるが、膜貫通ドメイン間の相互作用が酵素活性[1]にも影響することを示す研究がある。機能上、CD39は、細胞外ATP(extracellular ATP,eATP)と結合し、それをAMPへ加水分解することができる。もう一つのエクソヌクレアーゼCD73は、AMPをアデノシン(adenosine,ADO)に加水分解する。ATP-ADO経路では、CD39はeATP加水分解の律速酵素であり、CD39はAMP加水分解の律速酵素である(図1)。また、CD39はADPを加水分解することも可能であるが、効率は低い[3]。

図1.TME中のATP-ADO経路[2]。

図1.TME中のATP-ADO経路[2]。

腫瘍微小環境(tumour microenvironment、TME)においては、累積したeATPはP2プリン受容体(P2XRsとP2YRs)を介して細胞の炎症反応をきたり、あるいは細胞外ヌクレオチダーゼCD39とCD73を介して免疫抑制性ADOに分解される。酸欠のTMEは、CD39とCD73が多種の細胞タイプで広く発現し、発現量も向上する。特定の組織または腫瘍タイプにおいて、ADOは他の方法により生成されることもある。例えばアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase、ALP)媒介のATP分解、あるいはCD38、CD203a、CD73によってNAD+を逐次異化作用で生成したりすることもできる。また、高濃度の細胞外ADOは、アデノシン受容体(A2A、A2Bなど)によりTMEの免疫抑制性微小環境を促進し、また、細胞外ADO濃度はアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase、ADA)によって制御され、ADAはADOをイノシンに転化することができる。

CD39の発現

CD39は、多種の免疫細胞と非免疫細胞(e.g.内皮細胞と線維芽細胞)において発現し、CD39とその下流のADO受容体は、組織損傷、酸欠、組織再生などの様々な刺激を受けて発現レベルを向上させる。また、腫瘍細胞は、CD39の発現量を向上させることにより、免疫活性化作用を持つeATPを消耗する免疫逃避を得た。リンパ腫、肉腫、肺がんなど多くの腫瘍の中で、研究者が観測した結果、CD39の発現レベルの上昇がわかった。腫瘍微小環境(tumour microenvironment、TME)においては、血管内皮細胞と一部の免疫細胞の亜集団もCD39を高発現する。例えば、NK細胞、CD4+CD25+制御性T細胞(Treg)、マクロファージなど。その中、血管内皮細胞のCD 39の発現は、血管形成(angiogenesis)と原発腫瘍の発達において重要な役割を果たしている[4]。

eATPとADOがTMEにおける役割

eATPとADOは、TMEにそれぞれ炎症促進作用と免疫抑制作用があることが証明された[5]。TMEにおいて、それらの間のバランスは多種の細胞の免疫応答反応を制御している(図2)。CD 73拮抗剤やA2ARiは、ADOの免疫抑制作用を逆転させることのみに注目していて、eATPの効果を過小評価している。標的CD 39療法は、腫瘍の免疫反応を多面的にコントロールする潜在力がある[2]。

図2.TMEにおけるATPとADOの「陰」「陽」[2]。

図2.TMEにおけるATPとADOの「陰」「陽」[2]。

TMEにおいて、eATPは細胞外ADOとともに、多種の細胞の免疫応答を制御し、炎症あるいは腫瘍の発達を促進する。eATPはプリン受容体を通して多種の細胞タイプに免疫活性化作用を発揮する。一方、ADOはADO受容体媒介の様々なメカニズムは同じ細胞に免疫反応を抑制する。

CD39抑制剤の抗腫瘍免疫メカニズム

理論的に、ATP-ADO経路でCD39を抑制することは、二重の抗腫瘍免疫効果がある:①ATPの加水分解を抑制することにより、TMEにおける炎症と細胞増殖を促進する作用のあるATPレベルを向上させる。②下流ADOの累積を抑制することにより、ADO受容体直接媒介の免疫抑制作用および長期的に確立された免疫抑制性TMEを逆転する[2]。また、研究者は他にいくつかのメカニズム(図3)をも発見した。

図3.TMEにおいて治療的にCD39細胞外ヌクレオチダーゼ活性を抑制することは様々なメカニズムによって抗腫瘍免疫効果を高めることができる[2]。

図3.TMEにおいて治療的にCD39細胞外ヌクレオチダーゼ活性を抑制することは様々なメカニズムによって抗腫瘍免疫効果を高めることができる[2]。

(a)TMEの多くの細胞はCD 39発現し、細胞外ヌクレオチダーゼ媒介のeATP異化作用を促進する。たとえば、CD4+CD25+Treg、使い尽くされたT細胞、骨髄系由来サプレッサー細胞(myeloid-derived suppressor cells,MDSCs)、内皮細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞(dendritic cells,DCs)、NK細胞、腫瘍細胞を含む。酸欠のため、細胞損傷または細胞死亡によるeATPの持続的放出およびCD39の抑制によりATPの分解が抑制され、TMEのeATP含有量の増加をもたらす。

(b)eATPの累積量を高める以外に、CD39の酵素活性を抑制することによりADOの累積量を減少させ、免疫細胞の常駐と浸潤などの様々な免疫抑制作用を低減させ、例えばA2Aと/あるいはA2B受容体を発現するNK細胞とT細胞。

(c)eATPレベルの上昇は、髄系細胞のP2X7を活性化し、インフラマソーム媒介のIL18とIL-1を含む炎症性サイトカインの釈放を促進し、効果T細胞(Teff)とNK細胞媒介の細胞毒性作用をサポートする。eATPレベルの上昇により、P2X7+マクロファージの細胞ピロトーシスも誘導される。

(d)また、eATPとDCsのP2X7との結合は抗原提出作用を強化し、DCの成熟を促進し、さらに抗腫瘍免疫作用をサポートする。

CD39を標的にする組み合わせ免疫療法

単独投与免疫療法の以外に、治療効果が「1+1>2」という組み合わせ免疫療法も盛んになってきた。現在、多種の標的CD39の組み合わせ免疫療法は、実験および臨床試験の段階にある(図4)。

図4.標的CD39の組み合わせ免疫療法[2]。

図4.標的CD39の組み合わせ免疫療法[2]。

(a)CD39と他のATP-ADO経路のタンパク質(CD73、A2A/A2B受容体とCD38)を同時に遮断する方法:①免疫活性化作用のあるeATPレベルを向上させ、②免疫抑制作用のあるADOの生成を抑制することで治療効果を高める。さらに、ATP-ADO経路の中の多種のタンパク質を遮断することは、存在する可能性がある代償機構の影響を低減することができ、単一タンパクを標的にすることによる完全に経路を遮断できない可能性を低下させる。

(b)CD39と他の免疫検査ポイント(例えば、PD−1、PD−L 1、CTLA−4など)を同時に遮断することは前臨床モデルにおいて共同抗腫瘍効果を示した。また、一部のターゲット細胞では、CD39は免疫検査ポイントと同時発現する。例えば、使い尽かされたT細胞において、CD39とPD−1は同時発現する;マクロファージにおいて、CD39はPD-L 1と同時発現する。

(c)化学療法または放射線療法による腫瘍細胞の死亡はeATPと腫瘍抗原の釈放を増加させ、同時にCD39の遮断を行うことで、TME中のeATPの高含有量を維持し、DCsの抗原提出効果を高め、抗腫瘍免疫作用を強化することができる。

(d)養子細胞療法(例えばCAR-T)の抗腫瘍効果は適合性耐薬メカニズムによって制限される場合(CD39の上昇または低eATP/高ADOのTMEの形成を含む)がある。CD39、CD73、と/あるいはPD−1を標的にすることにより、このような耐薬品メカニズムを弱めることができる、抗腫瘍免疫効果を高めることができる。

(e)細胞外ADOレベルを低下させてもFc受容体の効果細胞の効果を高めることができる。マクロファージとNK細胞に対する抑制作用を低減することで、それぞれ腫瘍抗原媒介の抗体依存細胞毒性(antibody-dependent cellular cytotoxicity,ADCC)と抗体依存性食作用(antibody-dependent cellular phagocytosis,ADCP)を高めることができる。

まとめ

TMEのATP-DO経路を標的にする方法は非常に有望な治療法である。その中で、CD39抑制剤はTMEに二重の抗腫瘍免疫効果がある。①免疫活性化性を持つeATPのレベルを向上させる。②免疫抑制性ADOの蓄積を減らす。現在、多種のCD39抑制剤はもう臨床試験段階に入っている。例えば、Innate Pharma/Astrazeneca社が開発したIPH 5201、Tizona Therapeutics社が開発したTTX-300とSurface Oncology社が開発したSRF617。また、科望医薬(Elpiscience)が開発したES002、Secarna社が開発したCD39を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide、ASO)なども前臨床研究の段階にある。

サイヤジェンモード動物イノベーション薬品研究開発プラットフォームは、貴方のニーズに応じて、さまざまな効果的な腫瘍モデルを提供できます。例えば、従来の免疫不全マウスBALB/c nude(ヌードマウス)やNOD scid、免疫チェックポイントヒト化マウス、腫瘍細胞株移植モデル、ヒト由来腫瘍組織異種移植モデル(CDX)、遺伝子修飾モデルおよび表現型分析サービスなど。私たちは貴方のニーズに合わせるように、さまざまな皮下、イン・サイチュ、または転移性腫瘍モデルを構築し、対応するモデルに対して高度にカスタマイズされたインビボ薬力学的サービスを提供できます。ご興味をお持ちいただければ、いつでもお気軽にご連絡ください。

CD39ヒト化マウスを使い、腫瘍研究を助力する

品系バックグラウ:

C57BL/6N、BALB/c

品系作製策略:

マウスCD 39遺伝子サイトにヒト化CD 39細胞外ドメイン序列をノックインし、マウスの細胞内ドメインと膜貫通ドメインを保ち、嵌合型CD39ヒト化マウスモデルを作製する。

品系説明:

  • CD39はマウスの体内で正常な生理表現と調整モードを持っている。
  • CD39細胞外ドメインをヒト化するには、hCD39標的医薬の識別に有利である。
  • マウスCD39の細胞内ドメインを保留し、正常な細胞内のシグナル伝達を保証する。
  • マウス標的遺伝子を発現しないので、交差反応を避けられる。
  • マウスの免疫系の機能は健全である。

研究の応用:

hCD39標的薬が免疫健全マウスの体内での有効性と安全性を評価するために使用できる。

モデル検証:

CD39表現型の検査

図1.hCD39がhCD39マウスにおける発現モードはmCD39が野生型マウスにおける発現モードと違う。

Hcd39とmCD39が新鮮に分離された脾細胞における発現状況:(A)树状细胞(CD3 - CD19 - CD11b+ CD11C+)、(B)B细胞(CD3 - CD19+)和(C)Tregs(viable,CD3+CD 4+CD25+Foxp3+)

CD39機能検査

図2.hCD39は効果がある;αhCD39抗体はhCD39の活性を特異的に低下させることができる

αmCD39抗体、αhCD39抗体または対照グループであるARL(細胞外ヌクレオチダーゼ抑制剤)を使い、(A)野生型マウスと(B)hCD39マウスの新鮮に分離され脾細胞に対して1 時間を処理する。ATPを加入後、CellTiter-Glo®発光細胞測定法を通じてATPレベルを測定する。

参考文献:

[1] Grinthal, A., Guidotti, G. CD39, NTPDase 1, is attached to the plasma membrane by two transmembrane domains. Why? Purinergic Signal 2, 391-8(2006).

[2] Moesta, A.K., Li, XY. & Smyth, M.J. Targeting CD39 in cancer. Nat Rev Immunol 20, 739–755 (2020).

[3] Antonioli, L., Pacher, P., & Vizi, E. S., et al. CD39 and CD73 in immunity and inflammation. Trends in molecular medicine, 19(6), 355–367(2013).

[4] Jackson, S.W., Hoshi, T. & Wu Y., et al. Disordered purinergic signaling inhibits pathological angiogenesis in cd39/Entpd1-null mice. The American journal of pathology 171, 1395–1404(2007).

[5] Stagg, J., Smyth, M. Extracellular adenosine triphosphate and adenosine in cancer. Oncogene 29, 5346–5358 (2010).

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