【Gene of the Week】NOD2と炎症性腸疾患


目次
01 NOD2遺伝子の概要 02 炎症性腸疾患 03 NOD2関連のマウスモデル 04 CDの治療 05 総括 06 IBD研究を支援するワンストップ・サービス・プラットフォームNOD2遺伝子の概要
NOD2(Nucleotide-binding oligomerization domain 2)は、NLRC2とも呼ばれ、NLRファミリーに属し、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のペプチドグリカン(PGN)由来の細胞内パターン認識受容体(PRRs)です。NOD2は、造血細胞(例えば、T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞)と非造血細胞(例えば、パネート細胞、幹細胞、杯細胞、腸細胞)を含む様々な細胞型によって発現され、細胞質内で抑制された単量体の状態にあります。リガンド認識時に活性化されたコンフォメーションが変化してセリン・スレオニンプロテインキナーゼ2(RIPK2)をリクルートし、IKK複合体とMAPK経路を活性化して、NF-kBシグナル経路を制御し、腸管炎症を引き起こします。この遺伝子は、ヒトの16番染色体に位置し、18個のエクソンを持ち、アミノ酸数は818個です。
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Species |
Human |
Mouse |
Rat |
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Chromosomes |
16 |
8 |
19 |
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Full-length gene (bp) |
36491 |
41161 |
43098 |
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mRNA (nt) |
3917 |
4657 |
7272 |
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Exon(N) |
18 |
14 |
13 |
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Amino acid (N) |
818 |
1014 |
1012 |
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Related diseases |
IBD |
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表1. NOD2の基本情報
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease, IBD)は原因不明の慢性炎症性腸疾患であり、通常、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)とクローン病(Crohn's disease, CD)という比較的独立した2つの疾患を含みます。IBD感受性遺伝子は、いくつかの染色体領域に局在しており、16番目の染色体長腕に位置するIBD1領域がCDと関連していると考えられています。CDは、遺伝的感受性、環境要因と腸内微生物群の変化などの間の複雑な相互な役割によって引き起こされる可能性があり、先天性と適応型免疫反応の失調を引き起こし、その発病率は世界範囲内で上昇傾向を呈しています。2001年にNOD2がCDと関連することを発見して以来、先天性と適応型免疫応答におけるNOD2の役割はますます注目されています。NOD2の3つの一塩基多型(SNPs)(表2)は、白人のCD罹患と有意義な相関があることが確認され、人類社会において重要な人種差が存在し、その後のタンパク質機能研究により、それがCDの感受性遺伝子であることがさらに確認されました[1]。
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NOD2(SNP) |
塩基の変化 |
アミノ酸の変化 |
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8 |
C→Tヌクレオチド2104 |
アルギニン→チロシンAA702 |
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12 |
C→Tヌクレオチド2722 |
グルタミン酸→アルギニンAA908 |
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13 |
3020に1個のCを挿入 |
LRR領域におけるロイシン・プロリン交換 |
表2. NOD2遺伝子の3つの共通SNPs
NOD2のC末端部分(図1)にはロイシンリッチリピート配列(LRR)が含まれています。これは細菌性リポ多糖(LPS)と物理的に相互作用してNF-κBを活性化する構造ドメインです。3種類のアミノ酸多型の中で、最も顕著なのはコードシフト変異3020insC/Leu1007fsinsCであり、C末端の33アミノ酸の切断を引き起こします。
図1. Nod2遺伝子の構造とクローン病関連変異体の局在[2]
CDに関連する3つの変異体は、同じハプロタイプ(片方から受け継いだ連続したDNA断片)には存在せず、しばしば、より一般的なPro268Ser変異体の背景に存在します(図2)。このような非ランダム配分は、Pro268Ser変異体を含むヒトの集団にポジティブ選択(CD関連変異体に有利)を適用し、人類の進化過程全体において、微生物因子の反応に主要な選択性を発揮している可能性があります。
図2. クローン病(CD)関連Nod2の3種類のCD関連変異体の遺伝的起源[3]
NOD2関連のマウスモデル
MouseAtlas(マウスアトラス)は、KOマウスからヒト化マウスまで、遺伝子や製品モデル名で検索できるプラットフォームです。生体マウスか精子凍結状態か、リアルタイムの在庫状況、検証データ、詳細な説明を直感的に確認でき、直接注文も可能です。社内の製品管理システムと連携して常に最新情報が更新されており、現在39,000種類以上のモデルマウスを収録しています。研究者の皆様にとって非常に便利なワンストップソリューションです。
NOD2ノックアウトマウスは、腸管炎症、パーキンソン病、心筋梗塞、血栓症、心筋虚血、腫瘍など、さまざまな疾患の研究に用いられています。腸管M細胞は、分泌型IgA(SIgA)−病原体複合体の腸管関連リンパ組織への転座の主要な経路であり、粘膜における適応型免疫を開始するために重要です。NOD2ノックアウト(KO)マウスモデルと野生マウスモデルにおける蛍光標識SIgAの輸送を比較した研究によると、NOD2多型を有する患者から得られた腸管生検で観察されたように、KOマウスでは管腔から腸管の集合リンパ節へのSIgA輸送の平均倍数が増加(2.3)し、野生型マウスと比較して差が認められました。このIgA輸送により増加、およびMDP-PAM処理後、減少が起きたということがわかります。BSAまたは関連しないマウスIgGの腸管結紮ループモデルにおける細胞内輸送にも一切なく、細胞輸送過程におけるNOD2の重要性を示しており、SIgAはNOD2に依存して輸送されます(図3)。本研究では、NOD2を介した腸内微生物群の粘膜反応の調節機構を発見し、これはCDの腸内炎症や腸内細菌叢の異常に関連しています。
図3. Nod2欠損によるマウスIgAの逆輸送の増加[4]
CDの治療
CD患者の治療において重要なのは、症状のコントロールと腸粘膜の癒合であり、それによって患者の生活を改善し、合併症を予防します。患者用医薬品は一般的に生物学的製剤、経腸栄養剤、免疫抑制剤などの治療プランを選択して、長期的な維持治療を行います。高リスク因子を有するCD患者に抗TNF製剤(例えば、インフリキシマブIFX)を早期に投与することは、主要な臨床治療プランになりつつあります。しかし、IFX治療には限界があり、早期手術はCD患者に大きな利益をもたらす可能性があります。
総括
CARD15は、CDの主な感受性遺伝子であり、NOD2受容体をコードしています。クローン病に関連するCARD15遺伝子突然変異がNOD2受容体の機能の喪失または増強につながるかどうかは議論の余地があり、この機能の変化がCDに対する感受性を高めるメカニズムについては、まだ研究中です。トランスフェクション研究により、CARD15突然変異はMDP認識の欠陥、サイトカイン分泌の減少、NF-κBの不活性化を引き起こすことが明らかになっています。しかし、クローン病患者の体内で高レベルのサイトカインが検出されました。NOD2/CARD15ホモ接合型突然変異マウスは、活性化されたNF-κBのMDPに対する応答、より効果的な処理、及びサイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)の分泌などを示し、これらの作用は細菌による腸管炎症の感受性を増加させると考えられています。NOD2/CARD15はいくつかの疾患の発症機序に関与している可能性があることも、CDの更なる理解にも役立つかもしれません。
IBD研究を支援するワンストップ・サービス・プラットフォーム
IBDは近年、先進国における発病率が年々増加しています。その病因と発病機序は、まだ完全に解明されていませんが、現在では、遺伝的に感受性の高い人の腸内細菌叢に対する異常な免疫反応による腸管障害が原因であると一般的に考えられています。サイヤジェン株式会社のワンストップ・サービス・プラットフォームは、お客様のために、IBDのメカニズムを研究する遺伝子編集マウス、無菌マウス、及び関連の表現型検査、機能検証、病理学的分析などの一連のサービスを提供するなど、多くの研究者に便利なサービスを提供しています。更に専門的で効率的な科学者チームが、お客様に応じるような技術支援を提供しています。ご希望の場合は、お問い合わせください~
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