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緑内障について知っておくべきことは?

Cyagen Technical Content Team | October 19, 2022
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目次

目次

01 緑内障とは? 02 疾患症状と病態の関連性 03 緑内障動物モデル 04 遺伝子治療:治療への新たな戦略

緑内障は視神経を障害する眼科病気群で、前兆のないタイプも少なくありません。病気の影響は徐々に現れるため、病気が進行するまで視野の変化に気づかないこともあります。視神経の健康は、良好な視力を維持するために非常に重要です。緑内障による視力低下は不可逆的であるため、早期に診断し治療を開始できるよう、眼圧測定を含む定期的な眼科検診を受けることが重要です。

では、あなたは緑内障について、どのくらいご存知でしょうか?

緑内障とは?

緑内障(glaucoma)は、視神経乳頭の萎縮や陥凹、視野欠損、視力低下などを特徴とする疾患群です。病的な眼圧と視神経の虚血は、原発性緑内障の危険因子であり、また、視神経の圧力や障害に対する耐性も緑内障の発症や進行に関係すると言われています。ヒトの眼の房水循環に何らかの障害が生じると、眼圧が上昇し、緑内障になる可能性があります。

緑内障は、世界第2位の失明原因であり、その発症率は一般人口の1%、45歳以上では2%といわれています。臨床的には、病因、前房隅角、眼圧などの条件により、原発性、続発性、先天性の3つに分類されます。

緑内障の概要図
開放隅角緑内障と血管新生緑内障の比較図

図1. 開放隅角緑内障と血管新生緑内障の概要

出典: 希少疾患データセンター(RDDC)

続発性緑内障は、外傷性緑内障、血管新生緑内障、ぶどう膜炎続発緑内障、ステロイド緑内障など、正常な房水循環を妨げる特定の眼疾患または全身疾患によって引き起こされます。上記のような眼科疾患の病因は比較的はっきりしています。先天性緑内障は、胚の発育異常と前房隅角の先天性構造的変異が原因となっています。

急性閉塞隅角緑内障の臨床症状図1
急性閉塞隅角緑内障の臨床症状図2

図2. 急性閉塞隅角緑内障の臨床症状

出典:Health Plus;Du Toit N et al, 2013

疾患症状と病態の関連性

血管新生緑内障(NVG)は、虹彩や線維柱帯の表面に新たな線維血管膜が形成され、前眼部周辺が癒着し、房水の排出が妨げられることで起こる緑内障です。網膜静脈閉塞症や糖尿病性網膜症など、広範囲の網膜虚血に続発する難治性緑内障でもあります。NVGは不可逆的であり、失明の危険性が高く、長期にわたり眼や頭の痛みを伴います[1]。

原発閉塞隅角緑内障(PACG)は、前房隅角閉鎖、眼圧上昇、緑内障性視神経症を特徴とし、中国で最も多い緑内障で、アジアにおける不可逆的失明の主要原因となっています。原発開放隅角緑内障とは異なり、狭い前眼部(浅前房)と前房隅角の構造(狭隅角)がPACGの基本的な解剖学的特徴であり、前房隅角が徐々に狭くなり、閉塞していく過程は非常に複雑で、多くの要因が関与しています[2]。

原発開放隅角緑内障(POAG)は、主に視神経障害と視野障害が現れる不可逆的な失明疾患で知られています。その本質は網膜神経節細胞(RGC)の障害にあります。その原因は、眼圧が視神経の許容範囲を超えて上昇し、視神経篩状板(しじょうばん)の構造が変化して、神経線維が機械的に損傷することにあるとする機械論的な見解があります。さらに研究を進めると、視神経篩状板で視神経軸索輸送が阻害されたため、軸索膜がミトコンドリアを利用してATPaseを生成できなくなり、代謝障害により軸索タンパク合成や輸送が低下し、細胞機能の低下や自発的なアポトーシスが起こることが分かってきました。一方、血管説では、血管攣縮による虚血がPOAGの発症の主因であると考えられています[3]。

緑内障動物モデル

自然発症モデル

自然発症の緑内障動物モデルは、自然発症(遺伝)または人為的な遺伝子改変(トランスジェニック)によって確立された動物で、緑内障の前臨床in vivo研究において貴重な存在となっています。

開放隅角緑内障の関連マウスモデル図

図3. 開放隅角緑内障の関連マウスモデル

出典: 希少疾患データセンター(RDDC)

ワンストップ・マウスモデル検索プラットフォーム:MouseAtlas

MouseAtlas(マウスアトラス)は、KOマウスからヒト化マウスまで、遺伝子や製品モデル名で検索できるプラットフォームです。生体マウスか精子凍結状態か、リアルタイムの在庫状況、検証データ、詳細な説明を直感的に確認でき、直接注文も可能です。社内の製品管理システムと連携して常に最新情報が更新されており、現在39,000種類以上のモデルマウスを収録しています。研究者の皆様にとって非常に便利なワンストップソリューションです。

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マウスモデル

臨床的表現型

DBA/2J/Pax6-Norrin

視神経軸索萎縮

EAAC1-KO

眼圧上昇を伴わない自然発症のRGC死と視神経変性

GLAST-KO

表1. 代表的な自然発症緑内障の遺伝子改変マウス(トランスジェニックマウス)

DBA/2J/Pax6-Norrin

DBA/2Jマウスは最も情報量の多いマウスモデルの一つであり、ヒトの緑内障と多くの共通点が見られます。遺伝性高眼圧の年齢依存性モデルとして、緑内障の研究に広く用いられています。このモデルは緑内障障害の典型的な特徴を持ち、前眼部異常(前房深化、角膜浮腫など)、虹彩萎縮、周辺虹彩前癒着(PAS)、色素分散などが自然に起こり、8ヶ月齢くらいから眼圧が上昇します。ただし、RGCの障害程度は、個体差がかなり大きいことに注意が必要です。

網膜にNorrinを過剰発現するトランスジェニックマウス(Pax6-Norrin)とDBA/2Jマウスを交配して、DBA/2J/Pax6-Norrinマウスを得た研究が報告されています。1歳のDBA/2J/Pax6-Norrin群における視神経軸索の生存率は、同腹のDBA/2J群に比べ有意に高いことが確認されています。この研究は、緑内障治療の新たなターゲットとなる可能性を示唆しています。緑内障のトランスジェニック動物モデルの主な利点は、眼圧上昇、網膜および視神経障害に対する反応の個体差が小さいことです。さらに重要なことは、トランスジェニック動物モデルを応用することで、病気の原因となる遺伝子座の間の相互作用を特定することができるということです。[4]

EAAC1-KO and GLAST-KO

高眼圧緑内障の自然発症モデルに加え、正常眼圧緑内障(NTG)の自然発症モデルマウスも報告されています。グルタミン酸/アスパラギン酸トランスポーター(GLAST)と興奮性アミノ酸キャリア1(EAAC1)を欠損させると、眼圧上昇を伴わない自然発症のRGC死と視神経変性が認められました。その病態はNTGと類似しています。

Haradaらは、[6] GLASTノックアウトマウス、EAAC1ノックアウトマウス、視神経タンパク質E50Kノックインマウス、DBA/2Jマウス、実験的誘導モデルなど、様々な確立した緑内障動物モデルの利点と限界をまとめてくれました。その中で、GLASTノックアウトマウス、EAAC1ノックアウトマウス、視神経タンパク質E50Kノックインマウスは、RGCの変性を起こしたものの、眼圧の異常は認められませんでした。これらのマウスの網膜変性は3-5週齢で起こり、ヒトの緑内障で予想されるよりも発症が早く、進行も速かった。高眼圧症の動物モデルから得られた知見もNTGを研究する上で役立ちます。両方のモデルに対する治療効果を合わせて考えることで、眼圧以外の要因をターゲットとした新しい治療法の開発が促進されるかもしれません。

誘発動物モデル

緑内障の研究では、自然発生的な遺伝子改変動物モデルの他に、誘発動物モデルも用いられています。具体的には、前房内への特定物質注入、ステロイド誘発、レーザー光凝固による房水流出路の形成、上強膜静脈内への高張生理食塩水注入、上強膜静脈の焼灼または結紮、経結膜的強膜縫合など、誘因に応じて6種類に大別されます[4]。

遺伝子治療:治療への新たな戦略

近年、眼科疾患の遺伝的要因が次々と解明され、関連する動物モデルの開発により、前臨床研究において大きなブレークスルーがもたらされています。緑内障の標的治療にも遺伝子治療が用いられるようになってきました。

緑内障の遺伝子治療事例:Gene Therapy for Glaucoma by Ciliary Body Aquaporin 1 Disruption Using 遺伝子編集技術

  • 実験デザイン:毛様体内Aqp1遺伝子のノックアウトによる眼圧降下
  • 毛様体上皮を標的としたAAV血清型の選択と検証
  • ウイルスパッケージング
  • in vitroでのノックアウト能の検証
  • ウイルス注入およびin vivoでの効果検証(眼圧測定、RGC数、構造スキャン、凍結切片など)

著者らは、AAVベクターベースで遺伝子編集技術を用いて、毛様体アクアポリン1(Aqp1)を破壊することにより、眼圧を低下させました。アクアポリンは、水を輸送する膜貫通タンパク質で、ヒトに広く発現しているファミリーです。Aqp1を欠損したトランスジェニックマウスは、房水の形成と流入が減少するため、眼圧が低下することが示されています。[5]

AAVShH10血清型による毛様体上皮への遺伝子導入図

図4. アデノ随伴ウイルス(AAV)ShH10血清型の硝子体注入による毛様体上皮への効果的な遺伝子導入

マウス毛様体におけるアクアポリン1の発現と標的化図

図5. マウス毛様体におけるアクアポリン1の発現&遺伝子編集技術を用いた標的化

毛様体アクアポリン1破壊による眼圧降下図

図6. 遺伝子編集技術を用いた毛様体アクアポリン1破壊によるマウス眼圧降下

毛様体アクアポリン1破壊によるRGC喪失予防図

図7. 毛様体アクアポリン1破壊による2つの実験的緑内障モデルでの眼圧降下&RGCの喪失予防

参考文献:

[1] Wanqiu Ma.Advances in the treatment of neovascular glaucoma[J]. Chinese Journal of Urban and Rural Industrial Hygiene,2022,37(03):30-32.DOI:10.16286/j.1003-5052.2022.03.011.

[2] Yongqi Chai, Linan Guan, Weiwei Gao. Advances in imaging studies of anterior chamber angle in primary angle-closure glaucoma[J]. Medical Review,2021,27(16):3268-3273.

[3] Jing Tang, Yingping Deng, Qiong Wang, Xiaoming Chen. Research progress on the pathogenesis of primary open-angle glaucoma[J]. NRecent Advances in Ophthalmology,2020,40(06):587-592.DOI:10.13389/j.cnki.rao.2020.0135.

[4] Shuo Song, Yong Meng, Hua Li. Application of glaucoma animal model in glaucoma research [J]. Journal of Nanjing Medical University (Natural Science Edition),2021,41(12):1850-1855.

[5] Wu J, Bell OH, Copland DA, et al. Gene Therapy for Glaucoma by Ciliary Body Aquaporin 1 Disruption Using 遺伝子編集技術. Mol Ther.2020;28(3):820-829.

[6] Harada T, et al. The potential role of glutamate transporters in the pathogenesis of normal tension glaucoma. J Clin Invest. 2007 Jul;117(7):1763-70.

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