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慢性心不全モデル
慢性心不全(CHF)は、心筋梗塞や心筋症、炎症などによる心筋損傷を背景に、心筋の構造および機能に長期的な変化を引き起こし、心室の収縮・拡張機能が低下する臨床的症候群です。本モデルは、薬剤評価、前臨床試験、基礎医学研究において広く活用されており、左冠状動脈の永久結紮による心筋梗塞の誘発、虚血再灌流損傷による心筋ダメージの再現、大動脈弓縮窄術(TAC)による心室肥大からの進行性心不全の誘導などの手術的手法によって構築され、いずれの方法でも手術後数日から数週間を経て安定した慢性心不全状態に移行します。
動物の要求
本モデルは、マウスおよびラットを対象動物としており、原則としてオス個体の使用を推奨していますが、必要に応じてメスにも対応可能です。動物の年齢や体重は、研究目的に応じて柔軟に調整でき、急性(数時間~数日)から慢性(数週間~数か月)まで、さまざまな実験スケジュールに対応可能です。
手術の概要
目的に応じて、以下の3種類の手術法より選択が可能です:
左冠状動脈永久結紮による心筋梗塞誘発(→ 詳細は「心筋梗塞モデル」参照)
虚血再灌流損傷モデルによる心不全の再現(→ 詳細は「虚血再灌流モデル」参照)
大動脈弓縮窄(TAC)による左心室病的肥大および心不全の誘導(→ 詳細は「TACモデル」参照)
対象動物種:マウス、ラット
手術疾患モデルの実験周期:慢性実験として、モデル構築後数日~数週間にわたり観察・評価を行います。
動物の術後管理と配達
Cyagenでは、AAALAC認証を取得したSPFレベルの飼育施設にて、動物の飼育・手術・術後管理を一貫して実施しています。
実験動物は以下のいずれかの方法で準備可能です:
お客様より提供された動物を使用
Cyagenが標準的な商用実験動物(C57BL/6、Wistarなど)を代理購入
術後、動物の完全回復を確認したうえで、専用配送にて安全に納品いたします。
術後サポート・オプションサービス
日常観察・術後ケア:活動量、摂食・飲水の状態を毎日獣医がモニタリング。必要に応じて術後の鎮痛管理も対応
心臓超音波検査:高解像度の小動物用超音波装置により、術前~術後の各段階で心機能を多項目評価
測定項目:壁厚(IVSs, IVSd, LVPWs, LVPWd)、容積(LV Vols, Vold)、径(LVIDs, LVIDd)、EF%、FS% 等
カスタム設定にも対応
心電図検査(ECG):多時間点にわたる心電図の記録および解析
血液サンプルの採取:最大1.0mLの静脈血を採取、各種血液生化学検査に対応
サンプルは-80℃で保存し、郵送も可能
心肺サンプル採取:心・肺を分離採取し、重量比の算出/即時凍結保存またはホルマリン固定
必要に応じてパラフィン包埋・病理スライド作製に対応
動物倫理審査と管理
すべての実験は、Cyagen動物倫理・使用委員会(IACUC)による審査・承認のもと実施されます。麻酔・鎮痛・術後管理を含むすべての手術プロセスを科学的かつ倫理的に管理し、動物福祉の確保と研究品質の両立を徹底しています。