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論文解読:大腸炎も体内時計に関するのか?

Cyagen Technical Content Team | January 11, 2019
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目次

目次

01 体内時計と大腸炎の関係 02 Rev-erbαはNlrp3インフラマソームを制御する 03 Rev-erbαはNlrp3の転写を抑制 04 Rev-erbα活性化は大腸炎の軽減に寄与

体内時計と大腸炎の関係

哺乳類動物は生理や行動において様々な方面で体内時計の影響を受ける。体内時計が乱れるとがんや代謝不調など様々な疾患になる可能性がある。ヒトの体は脳にある主要な体内時計以外にも、肝臓、膵臓や脂肪組織など局在的な体内時計が必要である。

REV-ERBαは体内時計遺伝子であり、REV-ERBα欠損はマウスの概日リズムを破壊する同時に代謝遺伝子の発現を調節して、概日リズムと細胞代謝両方に影響を及ぼす。したがって、REV-ERBαは細胞分化、脂質代謝やリボソーム合成など様々な生理過程に関わって、がん、炎症性疾患などの潜在的なターゲットとなった。

潰瘍性大腸炎(UC)は炎症性腸疾患の一種であり、その発症の原因は未だ不明である。体内時計の破壊は炎症性腸疾患のリスクを高めることが報告された。同時に、昼夜の混乱も腸内細菌群を変化させ、炎症性腸疾患を引き起こす。しかし、体内時計が大腸炎や微生物群を制御するメカニズムは不明なところが多い。

そのメカニズムを解明する為に、済南大学薬学部のWu Baojian教授と彼のチームは、大腸炎における体内時計のメカニズムを研究し、Rev-erbαはNF-κB/ Nlrp3を調節することによって体内時計と大腸炎を関連付けることを見出した。この成果は、Nature Communications誌に掲載された。

Rev-erbαはNF-κB/Nlrp3経路を介して大腸炎を制御する模式図

図1: Rev-erbαはNF-κB/Nlrp3経路を介して大腸炎を制御する模式図

まず研究チームは、体内時計とデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎との関係を調べた。結果は、DSS誘発性大腸炎がマウス結腸においてゲノムワイドな遺伝的障害を引き起こすことを示している。示差的に発現される遺伝子(DEG)の経路分析は、炎症経路以外の体内時計システムの明らかな富化を明らかにし、これは大腸炎関連体内時計失調を示している。PCRの結果からも、Nr1d1 / Rev-erbα、Clock、Bmal1、Per2、Cry1、Npas2、Nr1d2 / Rev-erbβ、RorαおよびDbpを含む複数の体内時計遺伝子の異常な調節を確認した。

その後、研究者らは大腸炎の発症に対する概日リズム破壊の影響を観察した。まず、彼らは時差(概日時計の生理的破壊)が大腸炎の発症に及ぼす影響を調べた。時差があるマウスは、正常マウスよりもDSS誘発性大腸炎に敏感であった。また、彼らはBmal1ノックアウト(体内時計遺伝子破壊)の影響を調べた。時差マウスと同様に、Bmal1ノックアウトマウスもDSS誘発大腸炎に敏感です。

この2つの実験により、研究者らは体内時計の破壊は大腸でのRev-erbα発現が顕著に減少することを観察した。また、大腸炎マウスからもRev-erbαの減少が見られた。したがって彼らは大腸炎においてRev-erbαは潜在的調節作用があると予測した。

これを検証するために、研究者らは最初に広州CyagenにRev-erbαノックアウトマウスを依頼し、このマウスを利用して検証した。野生型マウスと比較して、DSS誘導後のRev-erbαノックアウトマウスの大腸炎ははるかに深刻であり、これは疾患進行におけるRev-erbαの重要な役割を支持する。さらに、Rev-erbαのノックダウンは、結腸Nlrp3タンパク質およびIL-1β/ IL-18タンパク質のレベルの上昇をもたらした。マクロファージの分析によりも、Nlrp3インフラマソーム活性化に対するRev-erbαの効果を確認できた。これらのデータは、Rev-erbαがNlrp3インフラマソームおよび大腸炎発症の調節において重要な役割を果たすことを示している。

Rev-erbαはNlrp3インフラマソームを制御する

Rev-erbαはNlrp3インフラマソームを失活させる

その後、研究者らはRev-erbαとNlrp3の関係を調べた。彼らは、肝臓および結腸におけるNlrp3および関連する炎症性サイトカインの概日リズム発現を測定した。彼らは、主な体内時計遺伝子(Bma1およびRev-erbαなど)に加えて、肝臓Nlrp3もまた有意な変化を示すことを見出した(図2)。興味深いことに、Nlrp3の振動周期はRev-erbαと逆であって、Nlrp3がRev-erbαの標的であり得ることを示している。 Rev-erbαノックアウトの後、Nlrp3発現のリズムは抑制された。これらのデータは、Nlrp3が時計制御遺伝子およびRev-erbαの潜在的な直接標的遺伝子であることを示している。

Rev-erbαとNlrp3の概日リズム発現の逆相関を示すグラフ

図2: Rev-erbαとNlrp3の概日リズム発現の逆相関

では、Rev-erbαはNlrp3インフラマソームにどのような影響を与えるのか。研究者らは、SR9009(Rev-erbαアゴニスト)とLPSを交互に投与する2つの治療戦略を用いた。 LPS処理の前にSR9009を使用しても効果がなかったのに対し、LPS処理の前にSR9009を使用すると、腹腔マクロファージにおいてNlrp3およびIL-1βのmRNAおよびタンパク質が減少した。これらのデータは、Rev-erbαが、主要にNlrp3インフラマソームのプライミングに影響を及ぼすことを示している。

Rev-erbαはNlrp3の転写を抑制

Rev-erbαはNlrp3の転写を抑制する

次に、研究者らはRev-erbαがNlrp3を転写を調節するかどうかを調べるために一連の実験を行った。同時に、彼らはまたNlrp3の転写調節におけるRev-erbα/ NF-κBの潜在的な役割を研究した。 Raw264.7細胞およびHEK293細胞のルシフェラーゼ分析により、彼らはRev-erbαがNlrp3の転写活性を阻害することを見出した(図3)。コンピューターシミュレーションは、Nlrp3プロモーターの210-bp領域(-1310〜-1100 bp)にRevRE(Rev-erbα応答エレメント)および2つのκB部位(NF-κB結合部位)があることを示している。クロマチン免疫沈降(ChIP)分析はまた、Rev-erbαがNlrp3のRevRE部位に動員されたことを確認し、これはインビボでのNlrp3プロモーターとのRev-erbαの直接相互作用を支持する。

Nlrp3プロモーター領域におけるRev-erbαの結合部位を示す模式図

図3: Nlrp3プロモーター領域におけるRev-erbαの結合部位

では、Rev-erbαの活性化はNF-κBシグナル伝達にどのような影響を及ぼすのか? SR9009処理は、Raw264.7細胞におけるLPS誘導IKBαリン酸化およびp65サブユニットのリン酸化を有意に阻害し、これは、Rev-erbαがNF-κBシグナル伝達に対して阻害効果を有することを示している。さらなる実験により、Raw264.7細胞におけるp65のmRNAレベルはRev-erbα依存性であり、一方、Rev-erbαの過剰発現はp65のmRNAおよびタンパク質レベルを減少させたが、それはp50サブユニットに影響を及ぼさなかった。

Rev-erbα活性化は大腸炎の軽減に寄与

Rev-erbα活性化は大腸炎を緩和できる

研究者らは、DSS誘導前にSR9009をマウスに7日間注射し、SR9009処置マウスは、ビヒクル処置マウスと比較して、体重減少、DAIスコアの減少、高い生存率、およびより長い結腸を示した。結腸の炎症も改善した。これらのデータは、Rev-erbα活性化がマウスにおけるDSS誘導性大腸炎を減弱させ、そしてこの防御がRev-erbα欠損マウスおよびNlrp3欠損マウスにおいて失われることを示す。 Rev-erbα活性化は、NF-κBおよびNlrp3インフラマソームを阻害することによって実験的大腸炎を軽減する。

まとめると、この研究は、Rev-erbαが体内時計と大腸炎との間の潜在的な関連として役立ち得ることを示唆している。 Rev-erbαは、NF-κB/ Nlrp3軸のその阻害によって実験的大腸炎を調節する。 Rev-erbαは、大腸炎の予防および管理のための薬物標的となることが期待されている。

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REV-ERBα integrates colon clock with experimental colitis through regulation of NF-κB/NLRP3 axis

Nature Communications volume 9, Article number: 4246 (2018)

 

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